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14

 

 あれからスターリン侯爵夫妻と正式に養子縁組を済ませ、私はセレーナ・スターリンとなった。


 だが名前以外は特段今までと変わったことはなく、今でも変わらず教師用の宿舎で暮らしている。


 ただ週に一度スターリン侯爵夫妻と食事を共にするようになった。取引の話から他愛ない会話まで、いろんな話をしていると本当の家族になったようだなと思った時、ふとそういえばあの人達はどうなったのかと久々に思い出した。


 本当に一瞬思い出しただけで興味はない。どうせあちらも私のことなど忘れているだろう。





 ◇◇◇





 最初の取引が始まる直前の仕事終わり、自分の研究室で魔法薬を作っているとシェインが迎えに来てくれた。



「セレーナ、そろそろ帰ろう」


「あ!あとちょっとだけ待ってくれる?これだけ終わらせたいの」


「はぁ仕方ないな。それだけだからな?」


「ありがとう!急いで終わらせるから!」


「急がなくていい。命を救う魔法薬だ。確実に作ってくれ」


「ええ分かったわ。ソファに座って待っていてちょうだい」


「ああ」



 そうしてシェインに見守られながら魔法薬を作り続けた。



「よし、できた!」


「お疲れ様」


「これで最初に納める分は終わったわ。あとは生徒の魔法薬の確認をするだけね」


「ずいぶん忙しそうだが辛くないか?」


「全然!むしろすごくいい刺激をもらっているわ。毎日が充実してるし生徒も楽しそうだし、それに私たちが作った魔法薬で元気になる人がいると思うと嬉しい」


「それなら良かった。まぁただ一つ文句を言うとすれば、俺と過ごす時間が減ったことだな」



 シェインはそう言いながら唇を尖らせた。そんな子どもみたいな表情が可愛らしくてつい笑ってしまう。



「ふふ…」


「あ、今笑っただろ?」


「ふふっ、ごめんなさい。シェインの拗ねた表情が可愛らしくて」


「いい歳した男は可愛らしいって言われても全然嬉しくないからな?」


「シェインたらそんな拗ねないで?ほら帰りましょう、ね?」


「…くそ、可愛いな」


「どうかしたの?」


「いや、なんでもない。さぁ帰ろう」


「ええ」



 そうして研究室を後にして一緒に馬車に乗り込んだ。


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