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 自慢じゃないけど、私は時たま粗相をする。小さいときは完璧なまでにトイレができていたが、先輩亡き今、どうもタガが外れてしまった。先輩がいなくなって下の階も縄張りになって、自由な気分、借りてきた猫から、気ままな猫へと変貌したこともある。そんな私に、あらゆる手段トイレが試された(と思う)。

 が、そんな子供だまし、私には通用しない。万策尽きたお母さんは徹底的にワックスをかけることにした。あの匂いを猫が好むはずはない、という浅知恵からだ。なんでそう頭が固いのかなあ。ワックスをかけた床をコロコロして見せる。

「ピイめ、全く動じていない……」

 感嘆(?)の視線を浴びつつ、私は得意になって転がる。いつもは小さいといわれている金の目もこの時ばかりは真ん丸。全開だ。

「あ~あ」

 お母さんの間抜けな声。でも、これに懲りずに今日もワックスを塗り始める。私は締め出されている。「乾くのを待って一部もう一度塗ろう」

 なんて言いながら、ちょっとドアを開けて乾き具合を見る。もちろん、私がこのタイミングを逃すはずがない。私は弾丸のようにドアの隙間を抜け、

「きゃ~」

 というお母さんの悲鳴の中、廊下に転がる。

「馬鹿、まだ乾いてない」

 お母さんは叫ぶが、私はますます調子に乗ってしまう。す~いすいと壁をけって背中で移動。もちろん目の端では動揺するお母さんをちゃ~んと捉えている。

 これぞ猫の至福なり。こうして私はワックスまみれの乙な猫となったのだった。

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