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殲滅の女神エレナ降臨


「ダメでしょうか?」


 ヒカルの目の前にはエレナがいた。潤んだ目でヒカルを見上げている。

 

「い、いや……別にいいけど……」

「では、ご承認いただけた、ということでよろしいデスか?」

「う、うん……」


 もちろん、そんな風に迫られる経験のないヒカルは押されっぱなしだった。


「では、いざ!」

「う、うわぁああああ、な、なにするの~~~」


 エレナはヒカルを押し倒すとその上に馬乗りになった。

 

「うふふふ。ワタシとひとつになるのデス。さあ、心もカラダも開きなさい」


 エレナはヒカルの服を脱がしながら、首筋を指で撫でた。


「うひょ、あは、ふほほほほほ、や、やめ、な、いで……うひゃあ」


 ――バンッ


「おいエレナ。私の目の前でなにやってくれてんのよ!」


 ディアーナはエレナの首筋を掴むと思いきり引き剥がした。

 

「ちょっと何をするのデスか? ワタシはヒカル氏の承認のもと、ひとつになろうとしているのに嫉妬デスか? 醜いデスね」

「ぐっ アンタねえ~ひとつになるってったって取り込む気でしょ? ヒカルを奴隷として」

「あら、いけませんか? だって死魂剣(デスペラード)はワタシのもの。死魂剣(デスペラード)の主がヒカル氏だというのなら、ワタシがその主になるのが筋じゃありませんか?」

「フンっ! そんなスジなんてありません! ヒカルも鼻の下を伸ばしてないてシャンとなさいよ!」

「あ、ああ……助かった……のか? 俺はこのままでも……いやいや良くない良くない。俺には譲れないものがあるんだ」

「一応聞いておくけど……なによ」

「巨乳だ」

「アンタもたいがいにしなさいよね」

「いやあ~はは」


 ――ガタンッ

 

 そのとき、入り口の向こうから物音が聞こえた。


「ぼ、冒険者だ! 冒険者どもが来やがった! どーする? どーする? えっと……エレナって……戦えるの?」

「戦えるかデスって? ふふふふふ。あははははは。戦えるかどうかは、相手次第よ。たいていはね、戦いにはならない。あっという間に勝負が決まるのデスからね」

「お、おお~なんだか心強いぞ」

「ふんっ、エレナの魔法がどんなのか知らないけど、せいぜい頑張ってちょうだいね。そろそろライフも後がないし」


 言いながらディアーナは念のため後ろに下がっていった。


「じゃあヒカル氏。ワタシの前に来てください」

「あ、ああ……どうするんだ?」

「ワタシが操るのデス。貴方のブツをね」

「え?」


 そう言うと、エレナは後ろからヒカルに抱きついて胸元から腹、下腹部へと手を伸ばしていった。

 

「うひゃらはばだ~ な、なにを? するのぉおおお」


 エレナは死魂剣(デスペラード)をヒカルの手ごと掴んだ。


 ――我、死を司る殲滅の女神エレナなり。死魂剣(デスペラード)よ、我が手となりてあらゆる生を刈り取り給え。

 いざ、殲滅の輪舞曲(ロンド)を。


 ――ボワッ


「な、なんデスこれは!!!!」


 そのとき、ヒカルが羽織っていたローブが広がり、ヒカルもエレナも取り込んでしまった。そして、その影はどんどんと膨らんでいき、巨大なモンスターのような容姿になった。顔だけはヒカルの顔をしている。


「こ、これは偽蝕套(ガウル)! 貴方なんてもん着込んでるんデスか! こ、これじゃあイッちゃう、イッちゃう、イキます~~~ああああああああああっ」

「ちょ、ちょっと……エレナ? だ、大丈夫?」


 背中が熱くなり、エレナの吐息を感じるが声がない。ヒカルも呼びかけたがエレナは答えなかった。


 ――ガコンッ


 そのとき、扉が開いた。見れば整った身なりの5人組の冒険者パーティだった。


 ――フゴォォオオオオロロロロォオオオオ

 

 冒険者の前で、天井にまで達する巨大な化け物が、地獄の底から響くような雄叫びをあげた。ヒカルである。ヒカルは『ヤバい冒険者入ってきちゃったよ。どーすんだよ。スルーする?』と言っているつもりだったが。

 

「な、なんだよー30階層でこんな化け物ありえねーだろ。勝てねーだろ、逃げるぞ!」


 冒険者達は逃げ出した。


 ――21/30

 

「お? カウントがアップしたゾ?」

「冒険者を追い返したからね」

「お、ディアーナ。俺、今どうなってるんだ?」


 眼下にディアーナが見える。自分が大きくなっていることは分かるが全体像がつかめない。


「そうね……バケモノかな?」

「へ、へえ……そ、それはスゴイ……のかな? こ、この姿でいれば冒険者達を追い返せる……のかな?」

「まあね。でもそれ着てるとたぶん、命が削れるわよ?」


 ――20/30


「あっ また減っちゃった。どーすればいいんだ?」

「脱ぎなさいよ」

「ぬ、脱げないんだよ! ど、どーすればいいんだ?」


 ――19/30

 

「ちっ しょうがない。燃やすしかなさそうね。覚悟して」

「ええええ――っ アレ撃ったら俺まで燃えちゃうじゃん」

「仕方がないでしょ。放っておいても死につづけるんだから!」


 ――ファイヤーバード エグゾースト

 ――ヴァーン ファイヤ――――――ッ


 ジュュガガガガガガァアアアアア

 

 ディアーナのファイヤーバードがフロアを駆け巡ると、バケモノは消え、ほとんど裸の男女が倒れていた。エレナとヒカルだ。

 

 ――18/30

 

「ちっ 冒険者追い返したって、コレじゃ意味ないじゃないのさ」


 本調子じゃなかったディアーナもそこに倒れてしまった。




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