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ダンジョン閉店のお知らせ


 ――グキュルルルルルゥ~


「おい女神サマ、盛大な腹の音だな」


 その後、なんの作戦も思いつかないまま新たな冒険者を待っていたが、次の冒険者はなかなか来ないまま時間が過ぎていった。

 

「わ、私じゃないわよ。アンタでしょ」

「まあどっちでもいいけどさ。確かに腹減ったなあ。俺、死んだってのに」

「だから転生したって言ってるでしょ」

「うむ~そすっとさ。腹も減るよな……どーすんの?」

「どーすんのってなにがよ」

「いや、ここにこのまま居たら餓死らない?」

「ああーそれなら大丈夫……そろそろ……」


 ――ピン ポン パン ポーン

 

 まもなく~~~営業終了時間と~~~なります~~~戦闘中の~~~冒険者さん~~~ダンジョンマスターさんは~~~戦いを止める準備を~~~してください~~~

 

 ポン パン ポン ピーン――

 

「へ?」


 ――ヴィイ――――――――ン

 ガチャンッ

 

 ドコからともなく流れた放送のあとしばらくすると、サイレンのような音が鳴った。その後、照明が落ち、赤いランプが灯った。


「な、なんだよこれ」

「ん? 営業時間終了ね。上がるよ」

「え? え? え?」

「ダンジョンの営業時間が終わりってこと、さ、早く! ご飯食べに行こ! 下界メシ!」

「いやいやいや無いわー、無いでしょ。ここ永久迷宮なんでしょ? 一度入ったら出られない系なんじゃないの? どっから出るっつーんだよ」

「ん? 非常口だよ」

「へ?」

「はい、これ持って!」


 ディアーナはアマゾネス達が落としていった装備品などをボロ布に包むとヒカルに渡した。


「早く早く! 消灯されちゃうよ!」

「……せ、説明を……」

「あと、あと! そんなん後でだよ! 急いで」


 ディアーナはなにもない壁に手をついた。すると光が四角く走り、ドアが現れた。


「な、なんだよそれは」

「だからゲート……つまりは非常口だってば。さ、行くよ!」

「あ、ああ……」


 ディアーナのあとについてドアを抜けると、そこは……町の中だった。ふりかえれば、ダンジョンの周りは巨大な壁で覆われていて、その壁に無数にあるドアのひとつから出てきたのだった。


 ――ガヤガヤ ガヤガヤガヤ ガヤガヤ


 石畳の舗道には馬車が往来している。歩いている人の着ている服は、甲冑やドレスなど、どれも現代人のものとはかけ離れている。そもそも、人に混じって、獣人、トカゲ人などが行き交っている。遠くには中世風の城が見え、町並みもヨーロッパ風である。

 

「ほんとにファンタジー世界なんだなぁ~スゲーや~じゃなくて! なにこれ? なんでダンジョン出れてるの?」

「わからん子だねえ~。だから営業時間が終了したって言ってるでしょ」

「だから! それだよそれ! なんで営業時間があるの? ゲーム? ゲーム世界なの? ここ」

「違うよ」

「じゃあなに!」

永久迷宮(エターナルラビリンス)はさ……危険なんだよ。夜はね。だから冒険者や町を守るため夜間は閉鎖されるの」

「そ、そうなんだ……で、でも非常口って? あんなのあったら、下層階層にも一気に出入りできるんじゃ」

「でもないよ。冒険者が使える帰還術式(セーブコード)は最後にいた場所の一個前の階層にしか戻れないからね」

「なるほど。お、俺もできるのか? その出入りが」

「あったりまえじゃん。アンタ、ダンジョンマスターなんだからさ。ダンマスと女神は別格。っても割り当てられた階層にしか行けないけどね。」

「ダンジョンマスターかあ~実感ねーけどなあ」

「はいはい、しみったれた話はさておき食事にしましょ! なに食べよ! なに食べる? 下界メシ! うっまいんだよね~」


 ディアーナはやけに嬉しそうに、スキップさえしながら町に繰り出した。しかしヒカルはあることが気になって、そんな気持ちにはなれなかった。


「なあディアーナ、金……あんの?」


 この町並みを見れば、なにがしかの文明社会だと分かる。飯だってタダのはずがない。それがヒカルは気になってしょうがないのだ。

 

「ふははははあ~ そこんとこはダイジョーブ! それ、売ればいいっしょ。ゴルドも少しドロップしていったしね。あの冒険者達」

「え? そ、そーいうこと? これ返すために持ってきたんじゃないの?」

「は~あ? なに甘いこと言ってんのよ。弱肉強食よ? 生きるためには~? はい、そーです。食べなきゃならない! 食べるためには? はい、正解! お金がいる! つまりは、そーいうことよ」

「えええーっマジで~」


 ヒカルは少し悩んだ。女神っていうから、正義側の人間かと思ったけど、やってることは追い剥ぎに近い。冒険者をやっつけて、身ぐるみ剥いで生活の糧にするという……しかし、いいのかそれで? と、思うヒカルでは無かった。

 

「よっしー! いくらになるかな? 豪勢な食事できるかな? これぞまさしく弱肉定食だな!」

「お、うまいこと言うじゃないか」


 ――じゃっくにっく♪ じゃっくにっく♪


 ヒカルとディアーナは、腕を組んでスキップを始めた。




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