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SとM


「フィオリナもいい加減にしなさいよね! 私達の命もかかってんのよ」

「す、すみません……あの……その……ちょっと苦手でして……」


 ディアーナはヒカルの姿を見るに見かねて……ではなく、お尻のあたりがムズムズしてきたのでフィオリナを止めようと思った。

 

「何がよ」

「そ、そのぅ……ヒカルさんの……血走った目……とか……鼻息……とか……手付き……とか……歩幅……とか」

「って全部じゃないの! そりゃーね、気持ちは分かるよ。こんなクソニートでド変態で、巨乳にしか興味がないアンポンタンが嫌いだってのは全女神共通の感覚よ。でもね、少しは良いところが……ひとつくらいは良いところが……あ、ある? な、ないとしても良いじゃない。ケダモノだもの」

「それを言うならニンゲンだもの、デスよ。ディアーナさん」

「あらそう? ってエレナ、なにその格好は」


 ディアーナがふり向けば、エレナは黒い女王様マスクをして、ムチを手にしていた。

 

「エ、エレーナぁ~~~こ、こうなったら最後の手段だ。フィ、フィオリナたんを縛るんだ! 縛り上げるんだ!」

 

 その後ろには、なぜか上半身ハダカになったヒカルがいた。

 

「おだまりなさい! 汚い豚野郎が!」


 ――パシンッ

 

「はふっ」


 しかし、エレナにすかさずムチで打たれた。


「女王様と呼ぶのデスよ!」


 ――パシンッ パシンッ

 

「じょ、女王さま~~~~って、何やらすんじゃい!」

「え? 違うのデス? 縛りプレイっていうから用意しましたのに」

「し、縛れるか? って聞いただけだろうが。だいたいロリのくせに女王様モードとか出すんじゃないってんだよ。どっちかって言うとディアーナの役だろそれは」

「ちょ、何言ってんのよ。こんな優しい女神様がそんなことできるわけ無いじゃないの。だいたいねえフィオリナちゃんだって可愛そうでしょ」


 ――はぁ はぁ はぁ

 

「縛る……縛るんですか……」

「ほ、ほら。フィオリナちゃんの心理状態がヤバい感じになってるじゃない。また殴られるでしょ」

「い、いいえ……い、良いんです。縛って……ください。そ、それしかありませんし……」

「ほら、フィオリナたんもそう言ってるじゃん。やれよディアーナ」

「ア、アンタが自分でやればいいじゃないの」

「そんなことしたらまた死ぬだろーが」

「ふふふふ。あははははあ。ワタシがやるデスよ」

「エレナ……た、頼んだ……」

「ええ。さあ、フィオリナ! 足を開きなさい!」


 ――パシンッ

 

「は、はひぃっ」


 エレナはムチで床を叩きながらフィオリナの周りをユックリと回った。


  ――パシンッ パシーンッ


「手を後ろにして組みなさい!」

「は、はいぃ……」


 回りながらフィオリナの方にだんだんと近づいて行く。


「な、なあディアーナ、アレ、エレナだよな?」

「決まってんでしょ……それより……フィオリナちゃんの様子が……」


 ――はぁ はぁ はぁ


 フィオリナの頬はピンク色に色づき、呼吸が荒くなっていった。


「フン! ウシみたいな胸して、恥ずかしくないのデスか!」

「す、すみません……は、恥ずかしいですぅ」

「フンッ」


 エレナはムチの持ち手の方をフィオリナの顔に当てるとそのまま焦らすように肌の上を滑らせ、左胸真ん中、乳首のあたりで止め、グンっと押し込んだ。


「あはっ……んっ」

「誰が座って良いと言いましたか?」


 フィオリナは膝から崩れるようにしゃがんでしまったのだった。そのアゴ先を人差し指で押し上げると、そのまま立ち上がらせた。フィオリナの膝はガクガクと震えている。


「フンッ 唄いなさいな」

「ハ……ハイ? な、何を?」

「縛ってください……って、言うのよ」

「そ、そんなぁ」


 ――パシンッ


「言いなさい!」

「ハ、ハイ! し……縛って……く、ください」

「聞こえませんねえー」

「し、縛って、ください!」

「ん? それが人にものを頼む言い方なーのデスか?」

「お、お願いします。どうぞ、私を縛ってください」

「フンッ」


 エレナはフィオリナの背後に回ったかと思うとあっという間にフィオリナを縛り上げてしまった。胸の部分がやけに強調されている本格的な感じの縛りだ。


「あ、あのおぅ〜エレナ……さん?」


 ――パシンッ!


「なんデスか!」

「そ、そのぉ〜そろそろ俺、刻印を拭き取ってよろしいでしょうか?」

「まだデス!」

「あ、ハイ! ス、スミマセンでした!」


 エレナはフィオリナに黒い目隠しをした。


「あ、あん……」


 フィオリナの口からは吐息がこぼれた。


「うわあ~、俺、近づけないよーどーしよう? ディアーナ行ってくんない?」

「ア、アンタが、い、行くしかないでしょう。ダンマスなんだから」


 その後、エレナがムチを激しく打ち続ける中、なんとかフィオリナの胸の刻印を消したと言う。

 一方、エレナはマスクを外すと素に戻って、縛られたフィオリナの縄を解いた。


「キャー、フィオリナさん、どーしたのデス? 変態ヒカルにやられたのデスか? こ、殺して上げますデスよ!」

「エレナ、オマエなあ〜なんも覚えてないのか?」

「な、何をデスか?」

「ふむぅ……そのマスク……何だ?」

「コ、コレですか? コレは『女王様のマスク』という魔道具デスよ。着けると女王のような力を発揮するという……」

「なるほど。ソレ、する時は許可制な」

「えと……ワタシ、何かしたのデスか?」

「いや、まあ〜面白いショーだったぜ。心臓に悪かったけどな」

「え、えと……詳しく……教えていただけますデスでしょうか?」


 その後、ディアーナから説明を聞くと、しばらくエレナは放心状態になってしまった。


「うむ、アレがエレナの本性ってワケじゃないらしくて良かったけどな……先が思いやられるぜ」


 ヒカルは残ライフ数を見て悲嘆にくれた……ワケではなく、今後フィオリナの刻印を消すたびにエレナ女王様を召喚しないとイケナイかも? と、思うと頭が痛かった。なにより、エレナが怖くて満足にフィオリナの胸の感触が楽しめないのが辛いのだった。


 ――フゴゴゴゴォォオオ


 その頃、25階層ではイフリートのボーマンが寂しそうな声を上げていたという。




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