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パーティの団欒

―冒険者ギルド ゼカイア―

 いつもの場所、いつもの席、いつもの料理を並べてディナー。

 その日、俺達は一日の終わりにいつもの過ごし方をしていた。これまでと違ったのは、俺達には念願の前衛職となるカルナが同席していた事だ。


「・・・いいのか? こう言っては何だけど、あの町の名士の屋敷で食事をするものばかりと思っていたんだが」


 そのほうが良い食事を取れるのではないだろうかという確信はある。他にも思い切ってカルナに尋ねたい事もあったが、あえて濁してこのような言い方となった。


「当然食事代くらいは出すさ」


 カルナがそう言いながら、金貨袋をテーブルの上に置いた。


「あ、いや。そういう意味ではなかったんだが」


 俺は慌てて否定した。


「そう。パーティを共にするなら所持金は共有財産。個別に払う必要はありません」


 エルルもそう言葉を付け足した。


「私は屋敷に居ないほうが彼らにも都合はよい。これは私の独断でもある。貴公らに迷惑であれば考え直すが・・・」


 俺達は彼女の背後関係がわからない。が、元の仕事が守秘義務を伴うものでもあったため、あえて尋ねる事もできない。


「迷惑なんて事はないさ!」


 俺はそう言いきった。何より腕が立つことは実証済みの前衛職である。歓迎こそすれども、拒絶はありえない。


「私達、歓迎する」

「ようこそ。後衛だらけのパーティへ!」


 と、俺は両手を広げ、歓迎の意を告げる。厳密に言うと俺は中衛扱いだが。少なくとも今は中衛志望扱いだ。


「なんだか気を使わせてしまってすまない」


 カルナはそう謝った。


「いや、俺達が変に意識していただけだから、カルナのせいじゃないよ」


 みな、気を取り直してテーブルの上の食事にありつく。


「そういえば、どうしてカルナは俺達と行動を共にしようと?」


 俺は食事中に差し障り無い質問をカルナへと投げた。


「夢だった。誰にも気を使わせずに、一人の人間として生きることが」


 俺は思いもがけない返答を受けて戸惑った。


「・・・却って私達があなたに気を使わせていたのかもね。ごめんなさい」


 エルルがそうカルナに謝った。その後は他愛ない日常会話が続いた。

 そんなこんなで食事を終えて、食後の紅茶タイム。


「さて、俺達はパーティ構成が変わり、これで明日には馬車も届く。活動範囲が広がり、受けられるクエストも幅広くなった事だと思う」


 俺は馬車を発注してから大分日が経っていた。だがようやくできあがった件を知らせた。念願の馬車がついに明日届く。


「待ってました! これで荷物を運ぶのも楽になるわね」

「そう! 移動も荷物運びも戦利品運びも劇的に楽になる! で、だな。馬の扱いになれた人が一人は必要だから、俺が乗馬とが御者に関わるスキルをラーニング使用と思うのだが・・・」


 と、俺がそう述べたとき、


「なんだ。貴公らは乗馬スキル持ちを探していたのか。それならば私が所持している。戦車の操術程度しかないが、馬車の扱いも心得ているから問題ないだろう」


 カルナが名乗り出た。


「ほんとうか! だがいいのか。道中は後ろで休めなくなるぞ?」

「何、気遣い無用だ。私のことはいっぱしの戦士扱いで良い」

「そうか。じゃあ、任せてもいいかな、みんな?」


 反対するものはいなかった。初めから経験のある慣れた人に任せるのが良い。


「よぉーし、じゃあ、明日以降に受けるクエストを探しておこうか!」

「今は夜だから、明日の朝に探したほうがいいんじゃないの? 新しい依頼は朝方に張り出されることが多いでしょ」


 実は依頼は発生ベースでも張り出されるが、定期クエストなどは朝方が基本だった。


「冒険者の依頼は朝に来るのか? なら私も早起きしなくてはな。・・・ところで、みなはどこで生活しているのだ?」


 カルナが目を輝かせた。冒険者のような生活に憧れていたのだろうか。


「あー、あのね。ここから少し先の掘っ立て小屋を借りて住んでいるの」


 エルルの言葉にカルナが軽く考え込んだ。


「邪魔じゃなければ、私も一緒してよいか?」

「あぁー、恥ずかしい話なんだけど、あまり人様には勧められないかなぁって」


 エルルはそういえばあの掘っ立て小屋には不服だったのだった。


「私は構わない! 使用人のいない生活に憧れていた!」


 普通そこは逆なんじゃないかと思ったが、あえて口にしなかった。

 これで男1女3の生活環境となった。俺が周りに気を使う側なのだが。

 気が気でならない生活になりそうだった。

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