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新たな仲間

―炭鉱の町ザーラム―

 捕らえた賊を官憲に突き出して、褒賞をいくばくか貰った。


「ん? 私か? 私は不要だ」


 カルナは金貨袋に興味なさそうに言った。

Result「3000G(褒賞)+1500G(盗賊の装備品売却分)」


 盗賊の身ぐるみを剥いだ売却価格もそこそこの実入りだった。・・・生活に困ったら賊を追いかけるのも良さそうだな、と思わなくも無かった。


「不運に見舞われたけど、結果的に良かったな」


 俺はそう思った。


「そういうものなのか?」


 その時カルナが不思議そうに呟いたのに、俺はさほど気も留めなかった。


「それに俺達のパーティは後衛しか居ないから助かったよ。これからも居てもらいたいくらいだ」


 カルナは俺の台詞を聞いてしばらく考えていた。


―ザーラムの名士の館―

 始めに要人護衛の依頼を受けた館まで戻ってきた。

 馬車から降りると、館の給仕達が現れて俺達をもてなしてくれた。


「これはこれは、カルパサッティーナ様」


 町の名士が様付けでカルナを呼んでいた。


「お前か。これから世話になる・・・と言いたいところだが、私はこの者達としばらく行動をともにしようと思う」


 カルナは町の名士にそう告げた。


「・・・よろしいのでしょうか。その・・・」


 名士が返答に困った。それもそうだろう。彼はカルナの後見人に世話を頼まれていたのだ。それが急に冒険者達と行動を共にしたいなどといわれても、はいそうですかとも言えない。


「なに、かまわん。もとよりこれは『私の気まぐれ』であって、元々面倒ごとを抱える事になった『そなたの責任は一切問われぬ』から、気にするな」


 カルナはことさら台詞の一部を強調しながら名士を説得した。

 背後関係に何があるのか明確にされていない以上、俺達は口を挟みこめない。

 が、パーティのメンバーになる、と言う以上はこちらも何かしらは言ったほうが良さそうだが、先ほど俺が『これからも居てもらいたいくらいだ』と言った手前、今の流れがあるのならば、なんとも口を挟みがたい。


「まぁ、そこまでおっしゃられるのでしたら・・・」


 名士は肩の荷が下りたと言わんばかりに安堵しながら言った。


―ザーラムの通り道―

 冒険者ギルドへ向かう道すがら、俺達はカルナと話しながら歩いた。


「なかば私が強引に決めてしまったようですまないが・・・」


 カルナはばつが悪そうにそう語る。


「気にしないで。元々シシトウがパーティに勧誘したようなものだから」


 エルルが俺に向けてそう告げた。確かに、そのような会話の文脈が無かったとは言い切れない。


「そう。俺達には念願の前衛職ってわけだし、ありがたいよ」


 何より彼女にレベルがあるならば、俺達より一回りくらいは上だろうと感じる。

 盗賊相手には全く本気になっていないと言うか、余裕で倒していた。


「それは嬉しいが、私は生来運が悪くてな。もしかしたら迷惑をかけるかもしれない。今日の災難も本来は何事も無くこの街についていたかもしれないところを、あそこまで様々な出来事に遭遇したのやも知れぬのだぞ」

「あぁ、結果として盗賊に遭遇したが、結局はそれで臨時収入も得られたわけだし、冒険者としてはむしろありがたいほうかもな」


 カルナにはゲームで言うところのエンカウント率上昇でもあるのだろうか。それならそれで、討伐系クエストが楽になるのではないかと考えてしまう。


「であれば、今後ともよろしく頼む」


 カルナはそういうと嬉しそうにほほ笑んだ。その瞬間は、白銀の鎧を纏った騎士さながらの格好でありながら、どこか令嬢を思わせるような雰囲気を感じた。

 俺達は彼女の背後関係などは詮索しない方針で、彼女のパーティメンバー入りを歓迎した。

 尚、冒険者ギルドでの彼女の水晶球診断結果。

 彼女は類まれなる技量を兼ね備えた戦士。自己申請どおり、運は人類史に名を残すレベルで不幸な人という評を得た。

 彼女の職業は本来、中級あるいは上級職も可能だったようだが、彼女はなぜか辞退し下級職に留まった。

 その理由も後々彼女の素性と共に明らかになったので、俺達は誰も彼女に不服は言わなかった。

そう。俺はゲーム思考でしか考えていなかった。職の上下というものが、必ずしも上の方が望ましいとは限らない事に。そんな事がわかるのはまだ先の話だ。


第10話へと続く


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