表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/55

砂漠のクエスト

「これはこれは・・・シシトウさん。おめでとうございます。腕力《STR》と体力《VIT》が僅かに上昇、起用度《DEX》と信仰心《PIE》が上昇しております!」

「肉体労働が多かったしなぁ・・・んん、信仰心?」

「ははぁ、シシトウ。さては私の奇跡に触れて信仰心があがったわね?」


 なるほど。目の前でヒーラーの術に預かればそうなるだろう。


「実に殊勝な心がけで、私も鼻が高いわ!」

「それで、シシトウさんは現在スキル補正も込みで狩人ハンターになれます。下位クラスのスライドチェンジで弓兵アーチャーになれば、王国騎士団にも就職可能ですよ!」


 俺は受付嬢の転職案内を聞きながら迷った。流石に騎士団への就職までは考えていなかったが、潰しの利く職業って考えるとすばらしいのかもしれなかった。


「俺が・・・ハンターに?」


 俺は迷った。思いもがけない話で、心の準備が出来ていなかった事もある。


「転職するに当たってのデメリットはありますか? 主に雑用における」


 俺は念の為聞いておくべきことは聞いておこうと思った。


「強いてあげれば雑用に戻る事はできませんが」


 戻ろうとする人は居るのだろうか。


「お願いします! 俺をハンターにしてください!」


 俺がそう言った途端に水晶球が輝いた。何か色々な光景が流れ込んでくるように見える。

『シシトウの能力と経験が必要条件を満たした』と、水晶球に映った。


「まただ。色々な光景が見える・・・」

「それは様々な冒険者達の霊の力なのです。彼らの体験した様々な事を擬似的に伝えてくれているの。スキルラーニングも同じなのよ。彼らに認められた者にしか駄目だけどね」


 受付嬢がスキルラーニングの原理を教えてくれた。意外な原理だった。

 生活の為だけではなく、戦う為の術。『狩りの基礎スキル』が『弓術の基礎スキル』に変化した! 短弓、長弓にボウガンまで扱い方がわかるようになった。ボウガンは威力も連射性能も段違いなので、扱えるようになるのは大きい。『観察眼の基礎スキル』を習得。ついに職種固有スキルが二つも手に入った。


「シシトウさん。ハンターへのクラスチェンジ。おめでとうございます!」


 受付嬢が俺を祝福した。俺は晴れて雑用を卒業し狩人となった。


「シシトウ、おめでとう!」

「雑用卒業おめでとう。なんとなくだけど、適性あったと思うよ」


 エルルが言うそれはバウエルとのコンビネーションなどだろうか。


「シシトウ、『動物会話』、覚える。無駄、ならない」


 獲物を鳴き声で状態を判別したり、狩りに犬や鷹を連れ歩く話なら現実でも聞いたことがある。どうやら趣味スキルにならずに済みそうだった。


「ついにしゃべるマスコット犬が手に入るのか!」


 俺は思わず床にいたバウエルを見た。


「マスコ・・・え、なにそれ?」


 どうやらマスコット、と言う概念がこの世界には存在しないようだった。エルルにもチムチムにもうまく伝えられない。これはこれで貴重な学びの体験だった。


「ともかく、これでパーティの戦力は大幅の増強だな。馬車が完成するまで日がまだあるけれど、どうする? このまま待つか?」


 俺はエルルとチムチムにそう尋ねた。


「一ヶ月くらいかかるんでしょ? なら、何かしらクエストはやっておきたいわね」

「チムチム、それ思う」


 所持金からいって、それなりの報酬のクエストを2,3消化しておきたいところだった。

 クエストボードをみんなで閲覧し、何かめぼしいクエストが無いか探して回る。


「実入りのいいのはみんな長旅だなぁ」


 俺は張り紙を一通り見てそう呟いた。


「街の付近でやれる事は大体みんなで取り合っちゃうからねぇ」


 エルルも手にしたクエストの張り紙にもめぼしいものは無かったようだ。

 商隊護衛や輸送船の護衛、海賊退治や遠方の採集クエストが大半だった。


「長期間拘束されるクエストが多いな。手軽なのはみんな持っていった後か」


 既に昼も近かったので、朝方に出てくる冒険者に美味しいクエストは掻っ攫われたあとであろう。この辺はみなシビアな争いとなる。早起き競争。冒険者の朝は早い。

 と、砂漠のサンドリザード退治の張り紙を発見した。街から西の方角の巨大砂漠に住む大型のリザード退治だ


「お、このクエスト。まだあったのか」


 俺はそのサンドリザード退治の張り紙を手に取った。


「前にピックアップした際はなぜ却下したんだっけ?」

「地図で見るとかなり広い砂漠だから。熟練した旅人でも困難な旅路となるよ」


 なるほど添え書きの地図を見ると、街より遥かに広大な砂漠だった。


「この砂漠は西への交易ルートがあるみたいね。他のクエストで出ていた商隊護衛の通り道がこの砂漠らしいから」


 元々キャラバンの道中の危険としてサンドリザード退治が挙がっていたようだ。


「あー、それか。サンドリザードが出てくるのは本格的な砂漠に入る手前のようだぜ。岩石だらけの荒地に出るって噂だ。もっとも、よほど腕に自身のある命知らずしか挑戦しないだろうがよ」


 近くでクエスト探しをしていた別の冒険者が教えてくれた。


「ありがとうございます。・・・砂漠の周囲の荒地なら、まだ遭難する危険は少ないんじゃないか? サンドリザードも魔法があれば倒せるかもしれないし」


 冒険者ギルドのゼカイアは物理職が多かった。魔法の素質は生まれつき決まっていて、その上それなりに勉強しないと身に付かないのでハードルが高かった。

 他力本願だが、この間の範囲魔法の事もあって、俺は魔法と言うものがあれば大半の魔物は討伐可能なのではないかとたかをくくっていた。


「・・・なら私は反対しないけれど」


 エルルは少々気がかりなのか、言葉尻を濁した賛成だった。


「チムチムはどうだ?」

「サンドリザード、見た事無い。だけど、頑張る」


 チムチムも賛成のようだ。


「じゃあ、このクエストを受諾しよう!」


 俺達は以前諦めたサンドリザード退治のクエストを受ける事にした。


Quest Set! 「サンドリザードを退治せよ!」 Get Ready? …Go!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ