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サリアリ

「あれが範囲魔法・・・すごい」


 俺は思わず感想を漏らした。


「サリアリ、うちの一族でも、強い」


 チムチムが誇らしげだ。彼女もいずれはあのような魔法を使えるのだろうか。


「昨晩は山小屋を取り囲まれていた為、範囲魔法を使うのをためらいました。今日は周囲を包囲しようとしたのが彼らは仇となりましたね」


 サリアリが額の大粒の汗をぬぐいながらそう言った。さすがに精神疲労がすごいようだ連発できる代物には見えなかった。


「周囲から獣の気配が消えた。今のうちに急ぎましょう」


 エルルが俺に進む事を促す。他にも魔物が現れるかもしれない。俺達は先を急いだ。

 しばらく歩き続け、一息ついたのは遠くに民家の屋根が見えてきた頃だった。


Quest Clear!!  Result.

・なし


 ようやく街まで戻ってきた。その安心感がみんなから伝わってくる。


「チムチムたちにお世話になっちゃったわね。ありがとう、助かったわ」


 サリアリがお礼を言った。

 麻痺毒が直ったばかりの男は狩人の女に連れられて、その場を去っていった。麻痺が直るまで安静にしていたとはいえ、まだ万全ではないからだ。


「サリアリ、心配だった」

「確かにあのままではまずかったかも知れない。街からそれほど離れてはいないし、それほど危険は無いだろうとたかを括った私達の失敗ね」


 きこりや炭火職人はまばらに住んでいると聞いたので、少なくとも俺達でもそれほど脅威とは見なさないかもしれなかった。


「今日はうちのおばばにご馳走を作ってもらうから、楽しみにしていてね!」


 サリアリはそういうと自分の屋敷に俺達を案内した。おばばと言うのは俺達が最初に会った使用人のことらしい。


「みんななんとも無くてよかったな」


 俺はポツリとそう呟いた。

 その日はサリアリのもてなしで、チムチムたちの住む南方系の料理を堪能した。チムチムも久しぶりの生まれ故郷の料理を喜んでいた。

 なんとか今日一日を乗り切れた事を安堵した日。俺は危険と隣り合わせの生活と言うものに慣れてしまっていたのかもしれない。それがやがて、あんな出来事に繋がるとは思いもしなかった。


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