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捜索

―中層住宅区―


 街の機能の中枢を担う者達が多く住まう住宅地。それぞれの組織の役職を担う者が良く住む場所のようだ。


「もしかして、チムチムの親戚の人ってどこかのお偉いさん?」

「魔術ギルド、中間管理職」

「へー、いろんなギルドがあるんだなぁ。チムチムは魔術ギルドに行かなくて良かったのか?」

「学術研究、苦手。冒険者ギルド、良い」


 どうやら彼女の都合的にも俺達のギルドが良かったようだ。


「チムチム、故郷に錦、飾る。期待、されている」


 チムチムがぐっ、と拳を握る。勉強が苦手なんて言っていて良いのだろうか?


「俺でよかったら協力するよ」


 俺は文化や価値観の違いを感じながら、今の自分は何を目指そうと考えていた。

 と、そこで手紙の差出人の住所の付近に着いた。


「ところで、手紙の住所はこの家のようなんだが・・・随分大きい家だなぁ」


 門構えの立派な家の前に着いた。チムチムが表札を見る。


「ここ、間違いない」


 俺達が入り口をノックしたところ、使用人の老婆が顔を出した。


「どなたさまでしょう? お客様でございましょうか?」


 チムチムが持っていた手紙の差出人を見せる。


「おお、ようこそいらっしゃいました。主様のご親戚でございましたか。主は自らの研究の為、北の山を目指されましたが・・・中々戻られないご様子。もしやと思い、捜索願を出そうか迷っておりました」

「なんだって?」


 聞けばチムチムの親戚の人は、北の山の湖に採取クエストに行ったらしい。


「チムチムの部族、みんな行動的。人任せ、あまりしない。きっと、自ら行った。大丈夫、思いたい」


 話を聞く限りは腕の立つ魔法使いのようだった。魔物にやられたとは思い難いが。


「わかった。チムチム、探しいく」

「・・・エルルにも相談しよう」


 俺達は支度を整え、使用人が言った北の山の湖を目指すことにした。


Quest Set! 「チムチムの親戚を捜索せよ!」 Get Ready? ………Go!



―北方の森―


 遥か彼方にはファイアドラゴンが住むという険しい山が遠方に見える森の入り口。ザーラムの北に位置し、うっそうとした森はきこりや炭職人がまばらに住む程度で、殆ど人は居なかった。


「魔物はそれなりに出る、との事。先輩冒険者談」


 俺はギルドで聞いてきた前情報を二人に伝える。


「まさかと思うけど、チムチムの親戚が魔物に襲われた、と?」


 エルルが尋ねる。


「わからない。けど、魔物、負ける、思えない」


 チムチムは親戚の人の力を信頼しているようだった。魔術ギルドの中間管理職らしいので、強さは申し分ないようだ。


「何かはあったようだな。ともかく急ごう。帰る予定より一日過ぎ去ったらしい」


 俺達は森の中を進む。まずは山奥にあると言う湖を探す。


「この間のエスクワイアほど草や木の種類は豊富じゃないようだな」


 俺は辺りの様子を観察した。街の近くの森はもっと彩りがあった。


「南方の草原や湿地に近い森は他からの動植物が入り込むから、その認識で間違ってはいないはず。と言っても、この間のような草の魔物が出ないとも限らないし、注意は必要でしょうけど」


 多少の草の魔物なら、チムチムが何とかしてくれそうだ。戦力増強の恩恵は大きい。今回も俺が前衛、中衛だ。他二人が後衛をカバーする。他、捜査犬としてバウエルが道中をフォロー。使用人から預かってきたチムチムの親戚の私物をもとに、捜査犬がどんどん先導して歩いた。


「いまのところは、湖の方角に真っ直ぐ歩いているけれど・・・」


 リードの先のバウエルは何かを探すように前へ進む。俺達は獣道と間違えそうな程に狭い道を進んでいる。

 と、1時間ほど歩いた頃であろうか。森が開けて大きな湖が見え始めた。


「ここが目的地か・・・ん?」


 湖を見渡したところ、何か黒焦げたような物体が転がっていた。


「なんだこれは・・・大きな熊?」


 俺は大きな熊のむくろを調べながら言う。


「だとすると、キラーグリズリーかしら。巨体を誇り、並みのハンターでは太刀打ちできないと言う山の支配者」


 その巨大な熊は、何か炎のようなもので倒されていた。状況から察するに、チムチムの親戚が倒したのではないかと思える。


「まだ付近にいるかもしれないな。探してみよう」


 と、捜査犬バウエルに任せるように進んだところ、湖を回り込むように迂回した先に山小屋があった。


「ん、あれは・・・行ってみようか」


 俺の言葉に二人は頷いた。



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