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備品買出し

―商店街通り イサノバ―


 その日、俺とエルルは商店街を歩いていた。


「馬車って色々あるんだなぁ」

「荷馬車や幌馬車などがあるし、積載量も異なるから。馬もきちんと見繕わなきゃ」


 前回必要と感じた馬車を探して歩いていた。


「予算はあるんだが、その中で買えそうな物と言ったら限度があるのがなんとも」


 安い馬車なら30,000Gからあった。だがそれらは荷馬車だった。


「後はオーダーメイドで作る方法くらいかしら。あれなら必要な機能だけを持たせた馬車を持てるようになる」

「てことは、しばらくは馬車無しでの生活になりそうだなぁ」


 二人で考え込む。


「後々後悔しないような買い物をするなら、一点もののオーダーメイドが一番だと思うの」


エルルは高級嗜好なんだろうか。


「じゃあ、冒険者ギルドに広告を出していた業者に頼んでみるか。以前、中堅冒険者向けに馬車のオーダーメイド広告が張り出されていたから。受付のお姉さんか給仕のお姉さんに聞いてみるよ」


俺は冒険者ギルドの広告を思い出しながらそう言った。


「ギルドの友好関係を重視するのね。それも賛成。所属組織と親しい組織と懇意にするのも、長期展望を視野に入れれば有効だから」

「エルルはいつもそんな方向からも物事を考えているのか?」

「元々組織間のやり取りをも決定する職業に居たから。こう見えても執政の中級スキル持ちです!」


 エルルが胸を張った。確かに大神官と言う位に居たのが確かならば、そのような立ち回りを求められていてもおかしくは無い。依然聞いた話では、あとは鑑定眼あたりの基礎スキルがあると聞いた。だから馬車探しに付き合ってもらっていた。


「じゃあ、今日の買い物はこれくらいだな」

「後は道具屋」

「え、何を買いに?」


俺は思わず訪ねた。他に入り用なものを思い出せなかった。


「一番消耗が激しい薬草。あれは前回の冒険で価格以上の価値を学んだから」


 俺は薬草の効果を見誤っていた。ゲームのようにHPが一気に回復するような効果を期待していた。実際には滋養強壮に効果満点で、スタミナ回復に大活躍の品物だった。

 期待と異なっていた為に落胆したが、前回はそれなりの距離を旅した為、野宿の間の疲労回復と言う実際に旅をしなければわからないような状況下で、その効果を実感したのだった。


「前は先輩冒険者に貰ったんだったな」

「前回は好意に甘える形になってしまったけれど、ギルドで一人前のパーティに認められる為にも必要なことは自分達できちんと行いましょう」


 元々教導的な立場に居る人間だったのだろう。公の場、という舞台において、彼女はかなりの人格者なのではないだろうか。最初はジェネレーションギャップ(世代と言うより時代)での価値観の違いを感じることもあったが、彼女は今の時代の一般通念を推し測り、適切な判断をするようになっていっていた。俺も必要に迫られてこの世界に適応を求められたが、それは彼女も例外ではなかったようだ。

 そんな古代人は道具屋方面へと向かう。


「あー、それなら俺が立ち寄って買って帰るよ。エルルはもう自由行動でいいんじゃないかな」


 俺はやる事もないので道具屋に立ち寄ってから帰ることにした。


「そう? じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら」


 エルルはランラン♪と上機嫌に商店街を歩いて帰っていった。さて、俺はもう少しお店を見て回るとしますか。

 鉱山が主力産業の商店街は大いに発展していた。鉄製武具の取り扱いは豊富なようだ。蹄鉄などの馬具の生産も盛んである為、馬車の製造業も発展しているらしい。


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