表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/55

「あの林、逃げ込む。何とかなる」

「あちらの方角に俺がバッファローの群れをおびき寄せるので、みんなはあそこで待っていてくれ」


 俺も賛成の為、細かく作戦を変更する。


「あなたも林の中なら分断可能、と見たわけね」

「チムチム、木の上登る。そこから狙い打つ」

「妙案だろう? そうだな。エルルはバウエルと遠方から見張っていて、指示をくれ。いざと言うときは治癒を頼むよ」


 この作戦なら最悪失敗しても何とかなりそうだ。危険な役は自分でやる。なんとなく怖いが、この世界での居場所は自分で作る。雑用だってなんとかなるさ。してみせる。

 バッファローの群れと林の間は短くても300メートル。走れば何とかなるのかもしれない。尚、俺の100メートルの記録は12秒くらい。バッファローの100メートルの記録は7.2秒と言われている。

 しかし、人間は持久走では動物界最高峰とも言われている。人間の持ち味は瞬発力ではなくスタミナ。

 弓の有効射程距離は大体50メートルとも言われている。つまり、この距離が俺とバッファローの間にあるハンディキャップ。この距離を生かして長距離走に持ち込めば勝てる。


「俺が弓でバッファローを怒らせる。上手く向かってきてくれると嬉しいんだけど」


 バッファローは気性が荒い動物。ハンター側の死傷率が一番高い草食動物であると言う事を知っていたら、俺は向かってきてくれたら嬉しいなんて言わなかっただろう。何せあのライオンでさえもが死傷することがある相手なのだ。


「勇気あるね。相手はあの獰猛なバッファローなのに」


 エルルは知っていたのかもしれないが、俺の男気に打たれて黙っていたのかもしれない。


「まかせておけよ!」


Battle Encounter! 「バッファローの群れ」


 こうして新たなる作戦の元、皆がそれぞれ所定の位置についた。

俺は林の方角からクレイジーバッファローの群れに近づき、その距離を測る。今は逃げられないようにと言うより、自分が逃げられるように慎重に近づく。

 弓の有効射程を測りながら近づく。狩りの基礎スキルのおかげで、獲物との距離感はかなり正確に測れている。大体自分が狙って当てられそうな距離を知ることが出来る。

 そのぎりぎり離れた位置に付き、俺は弓でバッファローの背を狙う。一番群れから離れたバッファローを狙った。

 ヒュッ! カッ!

 狙い違わず矢がバッファローの背に当たる。これはスキル補正のおかげだ。自分に弓を扱う技術が身についていることに今更ながらに驚く。

 バッファローは全く怯んでいないが、矢をけしかけた相手を探しているようだ。もう一本矢を番え、狙い撃つ。

 ヒュッ! カッ!

 またしても矢がバッファローに当たる。こうなると狙われたバッファローはいきり立って俺のほうを見ている。俺は眼が合ったことを確信して走り出す。

 バッファローに背をむけ走る。相手が追ってきているかわからないが、エルルを見ると危険を伝え、林に逃げるように指示している。

 こうなるとなりふり構わず林へ駆け込むだけだ。

 俺は見えていなかったが、バッファローの群れが俺を追いかけていたらしい。が、そんなことを確認している暇は無い。初動で遅れれば追いつかれる。

 全力疾走で林へ駆け込んだ。自分では自己ベストに思えるくらいだ。後ろを振り返ろうとしなくても、途中で背後から聞こえてきたドドドドと言う足音を聞けば、自分の置かれた状況はわかると言うものだった。

 事前に見繕っていた大きな木に一気に登る。一番低いが、自分よりは身長より高い位置にあった枝に落ち着く。

 と、追って来たバッファローがどーん、と木に体当たりする。ドドドドと、他のバッファロー達は林を縫うように走り抜けて行ったが、一頭が俺の足元で木に体当たりしている。


「裁きの象徴、閃光となる雷よ、我が意に答えよ、サンダーアロー!」


 直ぐ近くの木の上で成り行きを見ていたチムチムが、俺の足元に居たバッファローを雷の矢で打ち抜く。

 流石に強力な電撃を浴びては、巨体を誇るバッファローでもひとたまりも無かったようだ。一撃でおとなしくなる。

 と、そこにバッファローの群れが折り返して駆け抜けていく。

 どうやら追う対象を見失ったようで、草原に抜けてからは遥かかなたへと走り去って行った。


「やりました」


 チムチムが杖を天に掲げ、勝利のポーズをとった。


「ふぃー、流石に緊張したわ」


 俺は頬の汗を拭った。

 しばらくしてエルルがやってくる。


「かなりの数の群れが走りこんで行ったけど、大丈夫だった?」

「あぁ、なんとかな。チムチムのおかげで一頭仕留められた」


 俺は横たわったクレイジーバッファローを指差した。


「これは見事なバッファローね。しかも、良い角を持っている。知っている? バッファローの角は高級な調度品の細工の材料となるの」


 バッファローの角が密漁の対象となったという話なら聞いたことがあった。それなりに高価な品のようだ。


「じゃあ、早速解体するか」


 ちょうど持ってきた生活用のナイフを持って、解体を始める。料理スキルがあるとはいえども、巨体を誇る牛を解体するのは苦労した。


Victory!  Result 「クレイジーバッファローの角×2、クレイジーバッファローの皮×1、クレイジーバッファローの肉20キログラム×1、5キログラム×2」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ