大草原で
必要物資がどれほどになるのかを冒険者ギルドのみんなに聞いた。
アドバイスとして貰ったのは3日分の水と食料。水、大人一人一日3リットルとして、トータル27リットル。バウエルの分も追加する。食料、乾パン、大人一日300グラム。トータル2.7キログラム。干し肉3キログラム相当。バウエルのドッグフードは1キログラムの袋。尚、小型犬での見積もりだ。一日200グラム計算で考えてある。
さて、この荷物の比率。水が重い。
水。比重1の場合、1リットルにつき1キログラム。トータルで35キログラムの水と食料品となってしまう。
そこで考えた結果、チムチムがアイスアローで氷を出し、それを火で溶かして使う事となった。魔法使い様様だ。それでも常備するのは5リットルの水。最低限はこれだけ確保した。食料も最低限の量を確保で5キログラムになるかならないかだ。
そして毛布3枚(600G)。火口箱(50G )。生活用のナイフ一本(500G)。ロープ20メートル分。雨よけにもなる牛の皮の防水テント1枚(1000G)。緊急時用も含むお酒一ビン(250G)。
薬草500グラム(貰い物)。今回は薬草はいらないかと思ったが、疲労も取れる薬草は旅では必要不可欠と、鞭でも振り回しそうなとげ付き鎧の格好のお姉さん冒険者が言った。そして必ず持っていけと言われて渡された。後は塩こしょう。少々でも調味料は必需品だ。
気がつけば俺の背負いバッグは15キログラムほどの重量にまで膨れ上がっていた。
「まぁ、往復3日の行程だから。・・・3日でようやく俺が一人で荷物を運べるかどうかなんだな。だから長距離の旅はしばらく控えような!」
だからこそ馬車が欲しくなった。片道20キロメートルとは言え、この荷物は中々に大変だ。
「3日の辛抱・・・。この冒険が終わったら、俺は馬車を買うんだ・・・」
そんなことを呟いていた。
―大草原―
歩くこと6時間。そこでようやく大草原の入り口まで辿り着く。正午過ぎに出立したので辿り着いたときには大分薄暗かった。
日も傾いてきた頃、持って来たロープでテントを張り、焚き火の準備を行った。
わずかばかりの乾パンと干し肉で食事を取る。
「この先、大草原みたい。明日、バッファロー、探す」
チムチムがお湯を沸かし、お茶を飲みながら言う。
「直ぐに見つかればいいね。遠くまで行かなければ帰りも楽だから」
「なら、目安としてここにテントを残したままで明日は活動するか?」
「名案ね。そうすれば大草原に居ても方角にも迷わなくなるでしょうし、帰り道の方向もわかる」
荷物も軽くなるので、そうしたかった。
「ところで、バッファローの肉を持って帰るにしても、運ぶのに困らない?」
「あ、忘れていた」
「帰りなら荷物も少なくなるだろうし、解体してみんなで運んで帰りましょう」
総重量一トンにもなるというバッファロー。さすがに一頭20,000Gにもなるわけだ。全部を持って帰れないのは残念だが、ステーキに使う部位だけなら持ち帰れそうだ。
「とにかく、明日、狩れるかが、大事。みんな、早く休む」
俺達はチムチムに促されて早めに休むことにした。ここでバウエル大活躍。バウエルは人間よりも気配に敏感なので、見張りを立てずとも皆が休むことが出来る。
「いざと言うときは頼んだぞ、バウエル!」
犬は人間と遥か古来より友人同士だったらしいが、なんだかわかる気がしてきた。
夜間はバウエルの見張りに任せ、俺達はぐっすり眠った。
じっくり休んだ翌朝。テントはそのままに大草原へと繰り出す。
「随分と見晴らしがいい場所だなぁ」
俺は早朝、昨日は確認できなかった草原の遠景を確認した。
「ここはかなり広いから、帰る方角を見失わないようにしないとね。それだけでもかなり時間をとられるから」
俺は木で棒を立て、先端に布を巻いた。旗になるように。これで遠くからでも見つけられるだろう。そうでなくともチムチムはかなり視力が良い為、ある程度遠くまでならいけそうだ。
「さて、今日の行動を確認する。目標はクレイジーバッファロー一頭。上手くはぐれているやつが見つかればいいが・・・」
「がんばりましょう。きっと神のご加護があるから」
「チムチム、頑張る」
皆で広い草原を歩く。ここでも活躍するのはバウエル。早速バッファローを見つけたようだ。
「猟犬なんているぐらいだし、さすがに犬は良いお供だなぁ」
「シシトウもよく犬を冒険に連れて行こうと考えたよね。元々冒険者の家の生まれだったの?」
「いや、違うよ。ただ、いざ連れ歩いてみたら、犬の素晴らしさが良くわかる」
もはやこの先の冒険、俺はバウエルなしじゃやっていけない気さえする。
そのバウエルの吼えた先にはクレイジーバッファローの群れが居た。
「さて、困ったぞ。流石に都合よくはぐれているやつは居ないな」
「どうする、このまま、向かうの、危険」
チムチムでも相手に出来るのは一体までだ。
「おびき寄せるのは難しそうね。群れから切り離す方向が安全そう。あの林はどう?」
エルルが指差した方角は草原の中に林がある一角。




