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狩りのお時間です

―冒険者ギルド ゼカイア―


 その日は遅めの朝食を食べながらの作戦会議だった。先日パーティが新たに3人プラス一匹となり、更なる可能性へと挑戦可能となった。そのため、今後のパーティの方針の打ち合わせを行おうと言うわけだった。


「と、言うわけで、俺達はついに討伐系クエストにも挑戦可能となった」


 俺は何枚かのクエスト依頼が書かれた壁紙をテーブルに広げた。


「随分沢山あるものね?」

「おうとも! 一つ一つ見ていこう。まず、こちらが険しき山のファイアドラゴン退治」

「「無理!」」


 エルルとチムチムの意見が重なった。


「やっぱり? まぁ、気にするな。俺も駄目もとでお約束ってやつをやろうと持ってきただけだ。自分でもドラゴン退治が出来るだなんて思っちゃいないよ。次はこれだな。入り江の洞窟の魔神退治」

「ん、これは少々厳しいかもね。まず、統率をして戦う相手は厳しいかもよ。私達前衛すら居ないから。魔神とってもピンキリだから意外とどうにかなっちゃうかもしれないけれど、最初は動物並の知能の相手が良いのかも。まずいときには逃げられるし」

「そう。知恵があり、回り込む、不意打ちする。そんな相手、危険」

「そうなんだ。貴重な意見、感謝する」


 俺はそういうと、先ほどの二人の着眼点でアウトとなる討伐クエストを選り分けた。


「いのちをだいじにしようというみんなの意見を尊重し、ここでいくつかのクエストを却下した結果、この三つが残った」


 俺は三枚のクエストの依頼書をテーブルに並べた。

 一つ目、砂漠のサンドリザード退治。街から西の方角の巨大砂漠に住む大型のリザード退治だ。当然知性は低く、個体を相手とするであろう事から、難易度はまだ低いほうだと見積もった。

 二つ目、南の草原の辺りに住まう、クレイジーバッファローの群れ退治。こちらも知性は低く、群れは成しているが戦術的に人を襲う真似はしない。だが、馬車で群れに遭遇して大変な目に遭うものは数多い。

 三つ目、北の山のキラーグリズリー退治。木々生い茂る山の奥に生息する大型の熊退治。こちらもたまに群れなすものも居る。基本は知能が低いが、若干人間を襲う個体が現れることがあり、ハンターが彼らを倒すことを名誉とするくらいの強敵だ。


「これ、私の私見。キラーグリズリー、山奥。山登り、大変。遭難する。危険」


 チムチムは三つ目のクエストへの反対意見を述べた。


「それならば、私はサンドリザードの退治も同様に、砂漠で遭難する危険があると考えて反対するわ」


 エルルは一つ目のクエストへの反対意見を述べた。


「どちらも戦闘そのものではなく、探索する場所の危険性に対する意見だな。俺には想像もしなかった着眼点をありがとう」


 俺は流石にクエストの地域名から、その場を冒険する苦労までは考慮していなかった。山登りも砂漠の探検も経験が無い。だが、どちらも大変なことであるのは想像に難くない。


「えー、両者の意見を取り入れまして、二つ目のバッファロー退治のクエストを受領しようかと思うが、反対意見のある人は居るかな?」


 俺はみんなを見回す。


「私は賛成。妥当な意見だと思うわ」

「チムチムも、賛成。草原、行く、戻る。難しくない」


 パーティの意見は綺麗に纏まった。


「では、バッファロー退治に決定だ! 細かな作戦はどうする? あいつらの生態系を俺は良く知らないんだが」


 初めての三人+一匹パーティは狩猟クエストに決まった。後は、どのように、の作戦を練るばかりだ。


「バッファロー、先頭の牛、集団を先導。脅威となるもの、突撃するか、逃げるか、判断する。集団、人をも襲う。群れじゃない、狙い目」

「じゃあ、シシトウが弓で狙撃して囮になって、そこを横からチムチムが狙うってのはどう?」

「あー、それなら俺もそれほど危険じゃないし大丈夫かな。一頭だけならバウエルにも手伝ってもらって誘導可能かもしれない」

「チムチム、それ、助かる」

「誰か怪我したときは、私が治すから大丈夫」


 細かな作戦も決まった。後は準備して出発するばかり。

 と、その時給仕さんが食後のホットチョコレートを持ってきてくれた。給仕さんがテーブルの真ん中のバッファロー討伐クエストの紙を見る。


「あら、あなた達。バッファロー退治のクエストを受けるの?」

「そうです。みんなで意見を募った結果、妥当なクエストだと考えまして」

「そうなんだ。バッファローのお肉、料理屋には高値で売れるから、がんばってお店にも卸してくださいね」

「へぇ、そうなんだ。一頭、いくらぐらいで売れるんですか?」

「そうねぇ、うちなら一頭20,000Gで買い取るかも。沢山ステーキとか作れるし、各部位も色々なお料理に使えるから」


 このお店でも、バッファローステーキは一皿500グラムで200Gだった。たぶん、簡単に元が取れるんだろう。だが、それなりのお値段と言う事は、やはり狩り手側も危険が伴うのだろう。


「結構な値段なんですね! 頑張って牛を狩って持ってきますよ!」

「じゃあ、期待して待っているわね」


 給仕のお姉さんは去って行った。


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