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海沿いの闘い

「それ、チムチム達の島、近くで取れる。煙、幻覚作用あり、ご禁制の品」

「ん? もしかして、なんだかかなりきな臭い船だったりする?」

「それ、売るも、所持するも、良くない」

「・・・この話をたれこめば、一矢報いられるかもしれないな」


 俺の言葉にチムチムが頷いた。


「チムチム、この船の客、だった。チムチムが、その葉っぱ、持って、官憲に、持ち込む」


 確かに俺が持っていっても、なぜそれがわかったのかと、追求されかねない。チムチムならこの船の客だった。船の中で偶然見つけた、で通りそうだった。


「よし、そうとわかれば!」

「官憲が、捜査、始めれば、強制捜査。証拠見つかる。終わり」


 俺達は急いで船を後にした。

 その後、官憲の詰め所を探すのを苦労したが、何とか見つかった。

 チムチムがご禁制の葉っぱを持って官憲の元へと向かう。俺達も同行することにした。

官憲の方から事情を聞かれ、チムチムが船旅の途中で、あのご禁制の葉っぱを船内で偶然見つけたと語った。

 葉っぱは本物だったので、直ぐに官憲が動くことになった。

 俺達も捜査に任意で同行する形となる。

 大勢の官憲を連れて、俺達は再び船の場所へと行くことになった。

 問題の船にまた辿り着いたとき、船員の何人かが戻ってきていた。


「何だ、お前らは!」

「官憲である! 捜査特権により、この船の荷をあらためさせてもらう!」


 官憲のリーダーが声高に叫んだ。


「そうはいくか!」


 船員は慌ててカトラスを抜き放つ。ご禁制の品を密輸していることが発覚すれば、全員縛り首は確定だ。当然、慌てて出航して逃げるつもりなのだろう。仲間を呼び始めた。

 官憲と船員達の間で戦いが始まる。船員も数が多い為、自然と俺達の護衛が居なくなる。

 と、そこに船員達が現れた。


Battle Encounter! 「非合法活動を行う船の船員×3」


「お前らは官憲じゃねえな。そうか、お前らが通報者か。ただで帰れると思うなよ!」


 3人の船員がカトラスを構える。俺とエルルには近接戦闘なんて無理だ。このままではまずい! と、その時であった。チムチムがすっ、と一歩俺達の前に出た。


「魔法使いの、命といえる、大事なもの。手を出した。その報い、受けるべし」


 チムチムが杖を片手に振り上げる。


「何だ、てめえは?」

「私、チムチム。魔法使い、ぽそっ(見習い)。受けるがいい。この世の深遠より、来たりし、焔よ。我が敵を、焼き尽くせ」


 彼女がそう詠唱すると、杖の先端に炎が現れる。


「ファイヤーアロー!」


 彼女がそう叫び、杖を前へ突き出すと、炎の矢が飛び、一人の船員を撃ち抜いた。


「うぅわっちぃぃぃ!」


 撃ち抜かれた船員は弾き飛ばされながら火達磨になって床を転げ回る。その光景を見て、他の二人の船員は逃げ出した。転げまわり消火しようとしていた船員はあっという間に官憲に捕縛された。


「助かったな・・・」


 俺はそう漏らした。


Victory!  Result なし


事件が収まるのは夜も明けるころ。遥か東方の海より日が昇り始めた時だった。

 俺達は官憲に感謝され、後ほど表彰されるだろうと述べられて、所在を尋ねられた。冒険者の身分であった為、所属する冒険者ギルドの名を告げた。

 そして、ようやく帰路に着いた。


Quest Clear!!  Result.

・ご禁制の品の密輸業者を摘発の名声

・チムチムのルビーの杖


―冒険者ギルド ゼカイア―


 早朝ではあるが、冒険者ギルドは開いている。元々酒場の役割もあり、酔っ払った冒険者が酔いつぶれている光景も見かけるが、冒険者達の朝は早い。良いクエストは朝方にあり、といわれているからだ。


「ふぅー、疲れた。少しここで休んでいこうぜ」


 まだそれほど人は居ない。朝が早すぎただけだ。


「そうしましょ。チムチムもそれでいい?」


 チムチムは俺達に同行していた。その日泊まる宿を確保していなかったのも有るようだ。


「同意」


 ギルド内の長いテーブルに腰掛ける。俺達は朝食用のメニューを幾つか頼んだ。


「長い夜だったな。こっちに来てから生まれて初めての体験ばかりだったけど、今日のも今日ですごい体験だった」


 俺は給仕さんが出した水の飲みながら一息ついた。


「良かったね。大事なものが見つかって」


 エルルもバウエルに水をあげながら語る。バウエルは勢いよく水を飲んでいた。冒険者ギルドはよく魔法使いの使い魔として色々な動物を連れているので、バウエルも同じようなものと見られて、とがめられることは無かった。


「感謝」


 チムチムはぽつりと感謝の言葉を述べた。大事な杖を前に持ちながら。明るい場所で見ると、なるほど大きなルビーがはめ込まれていた。盗まれそうになるのも頷ける。


「チムチムは冒険の途中でこの街に来たのか?」


 俺はチムチムに尋ねた。


「チムチム、魔法使いの家の生まれ。今は修行中の身。まだ、どうするか決めてない。この街、着いてから、考えるつもりだった」


「そうだ、チムチムもこのギルドに登録したら?」


 エルルが思いもがけない提案をした。


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