スタイリッシュな殺し屋の仕事1
喜劇です。
悲劇です。
そして、ご飯を食べながら読まないで下さい。
月明かりを掻き消す摩天楼の光。
人気の無いビルの屋上から俺はとある窓をスコープ越しに覗いていた。
そこに映るは政治家、アルバート・ハート
今回の俺の標的だ。
「裏で名高いお前に仕事を頼みたい。
狙いはアルバート=ハート。
報酬はこれだ。」
そう言って札束を寄越す。
「いいだろう。やり方は俺に任せて貰う。」
「解った。
確実に始末してくれ。」
「……俺にそれを言うか?」
「済まない。忘れてくれ。」
奴は今、テレビの生中継で演説をしている。
準備は上々。
後は引き金一つで永遠に葬るだけだ。
照準を定める。
引き金を指に掛け
カチッ
パァン!
「キャァァァ!」
テレビに吹き飛ぶ姿とアナウンサーの悲鳴が流れた。
《翌日の朝刊の見出し》
アルバート=ハート キャストオフ!
要約すると、生放送中。奴のスーツが吹き飛び、全世界に全裸を晒したという話だ。
前々から奴のスーツに火薬を仕込み、リモコン一つで炸裂するように仕込んだ甲斐が有った。
これがスタイリッシュな殺し屋の殺り方だ。
依頼人)恐ろしい、なんて無慈悲な殺し屋なんだ(ガクガクガク)。
なろうラジオ大賞応募作は他にも10個以上投稿しています。
一緒にそちらも読んで頂ければ幸いです。