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ウォーキング・マイロード

作者: 苫野佑哉

 「外の空気でも吸うとするか」


 俺は仕事中であるにもかかわらず、執務室から外へ出る。


 散歩は良い。気分転換になるし、新しい発見がある。


 俺が街を歩いていると、皆が手を振ってくれる。でも、どうしてだろうか、それじゃあまるで、俺がこの国の王みたいじゃないか。

 歯切れの良い音を立てながら石畳の道を歩いていく。

 今日はいつもより少しだけ人が少ないな。そうか、今日は平日だった。俺もこんな平日から街を歩くのは久しぶりだな。

 休日とは違った人たちが見えて面白い。これだから散歩はやめられない。

 

「うちの肉、食べていきませんか!」

「うちの魚も!」

「うちの野菜だって!」


 店先の人が親しげに話しかけてきた。そのたびに俺は、笑顔で手を振る。大体はこれで収まってくれる。

 それにしても、なぜ俺に無償で食べさせがるのか。俺は王でもないのに。


 街を出るとき、衛兵さんに敬礼された。訳が分からなかったので、俺も敬礼を返したら驚いていた。まるで、俺が王みたいじゃないか。

 

 街の舗装された道と違って、街道も良い。地面が柔らかくて、歩きやすい。小鳥が飛び立つ音や、風で木々が擦れる音。色々な音が聞こえてくる。

 

 夏だな。まだ暑さこそ感じないもの、周りの木々は翠に輝いている。そんな街道を歩くのは俺にとって至福のひと時だ。それにあの葉っぱ、食べたら旨そうだ。

 

 少し歩いて森を抜けると、開けた平原に出た。とある貴族の私有地だが、余りにも綺麗なので、街道として使わせてもらった。世の中には優しい貴族も居る者だ。

 この話を持ち掛けたとき、嫌な顔をしながらも貸してくれたのは、彼の性格故だろう。彼は、言葉がキツイところもあるが、人の気持ちを考えられる、優しいやつである。それとも……いや、それはないな。


 ふと浮かんだ邪念を消し去り、草の上に少し寝転んでみる。

 気持ち良い。こうしてると、時々動物が近寄ってくることがある。俺が起きると、すぐ逃げるのだがな。


 そういえば、この先の崖にベンチがあったな。確かそれも、俺が頼んだんだった。今日みたいに良い天気の日は、絶景が見える。


 俺は立ち上がり、崖へと向かう。途中、リスからクルミを投げつけられたのは、幸運としよう。

 

 ベンチは1人、風に打たれていた。この場合一台とでも言うべきなのだろうか。

 俺はベンチに座り眼下に広がる景色を眺める。なんだか、眠くなってきた。



「——あ! ——様! 起きて下さい!」


 ん? あのまま寝てしまったようだ。

 それはともかく、この声は聞き覚えがある。そうだ 、俺の部下だった。元を辿れば、俺は仕事を抜け出してきたんだ。呼びにきたのか。


「国王様、大変です。城の厨房で、本日7度目の火事が起きました。またあいつです」


 あいつか。散歩好きだから厨房で働かせたんだがな。あいつに厨房は向いてなかったようだ。


 それよりも気になることがある。


「おいお前。今俺のことなんて呼んだか?」


 少し怖がるような表情を見せた部下だが、俺が本気で聞いているのだと分かると、戸惑いながらも答えてくれた。


「国王様、ですが」


 ああ、そうだった。



 俺、国王だった。


 

こんなのが第1作なんですけど(アドバイスも)よろしくお願いします。

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