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MAN EATER  作者: 香住愛蓮
1/2

はじまり

1.


2018年、地球の人口は100億人を超えた。

この爆発的な人口の増加による被害は、非常に深刻なものであった。よって、世界各国では人口を減らそうという取り組みが行われた。


世界中から集められた優秀な研究者たちは、人口を減らすためのある生物を発明した。

その生物の見た目は人間そっくりだった。

しかし、人間と違うのは、捕食対象 とみなし、人間を 喰う ことだった。彼らは、マンイーターと呼ばれるようになった。

そして、マンイーターの生命力は凄まじく、頭を撃ち抜かなれけば決して死ぬことはない。


こうして、各国は、マンイーターを使って人口を減らそうと試みた。誰かを人殺しにすることなく人を殺せる。これほど画期的な発明はないように思われた。


しかし、この計画は失敗に終わる。

思っていたよりもマンイーターの威力は凄まじく、

人類は彼らを抑えることができなかった。

そうしてマンイーターは世界中に広まり、人類をほとんど喰い尽くした。

残った人類は、地下都市に移住して、今に至る。

地下都市とは、地下に作られた巨大な街のことである。マンイーターのような存在が現れたとき、人類を守るために作られた。

地上に設置されたソーラーパネルのお陰で、地下でも日中は太陽光のような光が差している。

本当は国のトップのような人たちしか入れないようなところだが、今はもう残っている人類はほとんど残っていないので関係のない話である。


しかしもう人類が滅ぶのは時間の問題だ。もう誰もマンイーターを止めることはできないだろう。そして残された人類も、人類どうしの闘いによって、滅ぶであろう……。








「はぁ……。」

大地はため息をついて、読んでいた本を閉じる。

本はパタン、と軽い音をたてた。


「人口を減らすって……減りすぎだろ。もう残ってる人類なんて、この地下都市にいるやつだけだろ。」


大地が今居るのは、「地下都市図書館」。この地下都市に1つしかない図書館だ。地下都市に1つということは、今人類が使うことができる最後の図書館、ということになる。


ここには、今までの人類の歴史、マンイーターについて、それから人類が地上にいた時にあった童話や伝記などが残っている。しかし、保護されたのは歴史的価値があると判断された書物ばかりで、映画や小説、漫画などは残っていない。


「もう帰ろ…。」


大地は座っていた席を立ち、本を棚に戻して図書館を後にした。


外に出ると、生暖かい風が髪を揺らした。地下都市でも、吸気口から流れてくる風のおかげで、季節の違いはわかる。今は6月。今年も夏が始まる。


大地が暮らしている宿舎は、地下都市軍のもので、大地は地下都市軍の訓練兵である。彼は15歳の時から2年間、訓練兵として訓練してきた。そして彼は明日、訓練兵を卒業して、地上軍の一員として、働き始める。


今日は休日で、大地にとって訓練兵としての最後の日。

だから大地はいつも座学の勉強していた図書館で最後の1日を過ごした。友だちがいない訳ではないし(むしろ多いほうである)、数人から中央街にでかけないかと声をかけられたが、なんとなく今日は1人で過ごしたい気分だったのだ。










宿舎は図書館からあまり離れていないところにあるので、5分ほどで着いた。


辺りはもう暗くなっていて、宿舎の傍に立っている時計の針は、5時過ぎを差していた。


宿舎の中からは笑い声が聞こえている。きっと訓練兵卒業を祝うパーティーでも始まるんだろう。窓から溢れているあたたかい光の中で揺れる人影を見ながら、

大地は静かに笑みをこぼした。




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