初めて‥お城に来ました
「さて」
最強嫁こと、アンジェリーナさんは1人ゆったりと椅子に座って口を開いた
それに向かい合うように、なぜか地面に正座させられているオークレール男性陣。
‥大丈夫か、オークレール家‥
「お遊びはこれくらいにして‥‥これからどうなさいますの?」
『嘘だろ、まさかこれ遊びだったのかよッ⁈』と机だった残骸を呆然と見つめる男2人を他所に、お母さんは落ち着きを取り戻したのか、力強い口調でこう宣言した。
「もちろん諦めたりなんて致しません!」
「ヒルデさん、その通りですわ!それでこそ私の義妹ですわ‼︎」
お母さんに向かって、キラキラした目で親指をグッと立てるアンジェリーナさん。
うって変わって、いまだ地面に正座したままの男性陣に対して向ける視線は冷たい。
「お二方とも、いつまでそこにお座りになっているおつもりですの?
ヒルデさんと私がこう申しているのですから、なんとかして下さいませ」
これ以上は殿方のお仕事ですもの、とキレイに微笑むアンジェリーナさん。
その笑みに気圧されたのか、クレイグさんはこくこくと頷く。
「‥兄さん、いっつもこんな感じなの?」
「あぁ‥。
‥というより、今まではレオンハルトが(お腹の中に)いたから大人しくしていたということを忘れていた‥」
兄夫婦の圧倒的な力関係の差に、ダリウスは思わずつぶやく。
(あぁ‥!僕のヒルデが変な影響受けませんように‥!)
義姉に向かって、尊敬の眼差しを向けている自分の妻を心配そうに見つめるダリウスなのであった。
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その次の日
私は今、お父さんに抱えられながらお城に来ています
(わー、初めてのお城だー!
やっぱり広いしキラキラしてる!)
お城といえば、某ネズミランドかU◯Jくらいでしか見たことのない元現代人の私なんだから、生のお城は少しくらいテンション上がっても許されるよね!
出来る限り目をキョロキョロさせている私に気付いているのかいないのか、お父さんは1人ハアァァァーっと深いため息をついている。
「ミリア〜、今から僕の上司に会うけど思いっきり‼︎泣いてやっていいからね!」
「う?」
「本当は僕の可愛いミリアを、あんな腐r‥殿下に会わせたくないんだけど、『とりあえず来るように』って言われてしまったからね」
(お父さん今何て言おうとしたの‥?それに、‥もしかして『殿下』って言った?)
お城の中心に向かって歩いているのはなんとなく理解していたミリアだったが、まさか王族の方と会ったりするんですか⁈
(ちょ、私も心の準備しとかなきゃ‥!)
いまだブツブツ文句を言っているお父さんに連れられながら、私は生『殿下』を見て鼻血をださないように‥いや、この歳で女を捨てないために心の中で
(平常心、平常心、)
と唱えていた。
そんなことをしている間にどうやら目的地に着いたようだ。お父さんが目の前の大きな扉をノックする。
「さぁ、着いたよ。
‥王弟殿下、第3部隊長ダリウス・オークレール参上いたしました。」
「えぇ、入りなさい。」
部屋の中にいたのは、完璧な微笑みを浮かべた麗人でした。
いよいよ対面です!