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王弟殿下ラファエル様の‥‥

少し時間軸が戻ります。

よろしくお願いします。


自分の直属部隊を東に送り出して少し経った頃



ザイツ王国王弟ラファエル・エルフリード・ザイツは、『あるもの』を手にしながら内心ほとほと困り果てていた。‥とはいえ、其の麗しい顔にはいつもと変わらない読めない笑みが浮かべられていたが



「うーん、‥これはどうしたらいいんですかねぇー‥」



彼の独り言のような言葉に、同意するように返事する声が一つ



「だー」


「身に覚えはないんですがー」



彼がチラリと視線を落とした先には


『貴方の子どもです。

責任取って育ててください。』


と淡々と書かれた一枚の紙切れが。そして否が応でもこちらをジッと見つめる一対の瞳が視界に入る。



「第一、私の子供なら絶対こんなに目つき悪くないですねー」



とりあえず紙切れをどけて、他称『自分の子供』をまじまじと観察する。‥この子供、本当に目つき悪いですねー‥



そもそも王弟ラファエルは、今年35歳になるが未婚である。もちろん、内縁の妻的なものも持っていない。



その理由は簡単だ。



先の代替わりの折、このザイツ王国は荒れに荒れた。あの3年にも渡った身内同士の蹴落とし合いで、ラファエル自身も異母兄弟に命を狙われた。今の現国王である異母兄がラファエルを庇ってくれなければ、また、ラファエル自身が王位継承権を放棄しなければ、あの時に自分の生涯は終わっていたに違いない。



そして、あの争いで多くの民の命が失われてしまった。

世代交代がただの兄弟喧嘩で終わるわけもなく、その隙をついた隣国バロミアに攻め込まれ、結局戦争にまで発展してしまったのだ。



ラファエルは『国』という形にさほど執着していない。国を、国たらしめているのは、あくまで頂点に立つ王と数多の民草の存在なのである。そのどちらが欠けても国にはならないとラファエルは思っている。



だが、一般的に知られているように、王族から生まれる子供は、魔力が高いゆえに生き残れないことが多い。その身に宿る大きな魔力が、魔力回路が発達していない子供ではその身に牙を剥く刃となるのだ。



だから、王となるものは出来る限り子を為さなければならない。王家の血を絶やさぬために。一人でも多く王子が生き残れるように。


本来は王子たちの対の存在になれるよう、王弟であるラファエルも妻を娶らなくてはならなかったのだが、公爵家に婿入りした実兄がいるため、その役目は任せることにした。



「それにしても‥一体キミは何処から来たんですかー」


「だー」



こちらが見つめても物怖じせずに睨みつけてくるこの子供。



( この眼、この顔立ち‥‥おそらく側妃アンネリーゼ関係でしょうねー‥)





なぜこんなにこの子供の目つきが悪いのかはわからないが、大体辺りをつけた麗しの王弟殿下は、事実関係を調べるために部下を呼び出すのであった。




とりあえず子供はラファエル様に保護されたようです。

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