遊びアリと働きキリギリス
遊びアリ「おうおう! そんなに働いて何になるんだ?」
働きキリギリス「働くのが好きなんです」
遊びアリ「変わってんなあ」
働きキリギリス「あなたはなんで遊んでばかりいるのです?」
遊びアリ「そりゃあ、遊びのほうが楽だからに決まってんだろ!」
働きキリギリス「楽をしたいから? 私にはそれこそ耐えられない。くだらなくて、つまらないことのように思えます」
遊びアリ「かっこつけやがって! そんなに働くのが素晴らしいのか?え?」
働きキリギリス「素晴らしいかどうかは分からないですよ」
遊びアリ「あのなぁ。俺の仲間はなあ、働き過ぎて死んだんだよ」
働きキリギリス「それは働き方が下手だったのではないでしょうか? あるいは休み方を知らなかった……」
遊びアリ「んだと! あいつのことを悪く言うんなら承知しねぇぞ!触角引き抜いたろか!」
働きキリギリス「失礼しました。とにかく、働くというのは私にとって喜びに他なりません。そのことについて誰も咎める権利・資格もないはずです」
遊びアリ「わかった。わかったよ。もう何も言わねえよ。ただ最後に一つだけな……」
働きキリギリス「なんでしょう?」
遊びアリ「無理すんなよ」
働きキリギリス「ありがとうございます。あなたも遊びすぎないように」
遊びアリ「おう。……って誰に口きいてんだ? 俺は腐ってもアリだからな!」
キリギリスもアリも満面の笑みを浮かべていた。