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18、狂気の魔女




今日はのんぴりダラダラ何もせずに過ごすかー、と思ってたら


「アニキ、大変なんだ!頭領が、頭領が!」


切羽詰まった様子の盗賊達が家に飛び込んできやがった


「落ち着け馬鹿共、俺は兄貴じゃない」


取りあえず蹴りをかましてやった

理由?俺がダラダラしようとしてんのに面倒事な事件を持ちこんできやがったからだ!


「で、なんだ?」


「頭領が狂気の魔女に拐われたんです!」


「なんだそのマッドサイエンティストみたいな奴は」


鳳○院って名前か?


「なんで落ち着いてるんですか!?頭領が拐われたんですよ!」


「ベイルなら、別に大丈夫だろー」


「実験とか解剖とか言ってたんですぜ!?」


「ちょっと様子見に行くか」


ベイルが魔改造されるだけならいいが、解剖はいかん




森に盗賊達を引き連れ行進する勇者の図


「本当にこの森に狂気の魔女とやらはいるのか?」


すげぇ普通の森で魔物すら出てこないんだが


「間違いないです。頭領の毛が落ちてますから」


確かに毛は落ちているようだが……

分かりにくいわ!よく見つけれるなコイツ等!

てか、気失ってたんだよな?なんで毛落とせてるの?なんで毛をチョイスしたの?


「俺いらねぇじゃん」


「何言ってるんですアニキじゃないと狂気の魔女には勝てませんよ!」


今日、魔女がベイル盗賊団の村を訪れ、盗賊達は本能的に危険と判断し攻撃しようとしたが、ベイルは女に手をあげる奴は男じゃねぇ、と言う奴で普通に自分の所まで通したと


……盗賊のくせに女には手をあげないって

流石、前勇者のお供だな、と呆れた


魔女はベイルと対面し、速攻でベイルに薬を嗅がせ意識を狩り捕獲、それを見た盗賊団は魔女を倒そうとしたが魔女に踊りながら殴られ全滅したらしい


……魔女なのに物理かよ


「で、戦力として俺がいると」


「はい、俺がいなくなって困ったらアニキを頼るように頭領に言われてるんで」


「そーなのかー」


ベイルめ……面倒なことを


先行していた奴がこちらに振り向いた


「見えました!恐らくあれが魔女の工房ですよアニキ!」


そこにはお菓子の家があった

そこにはお菓子の家があった

大事なことだから二回言った

ヘンゼルとグーレテルかよ!


「あれが狂気の魔女の家か……?」


「間違いありませんね。頭領の毛が続いてます」


「…………。」


落ち着け俺はクールだ

魔女の家にはなんかヤバめな工房があるのはお約束、外見は油断を誘うための罠

中は恐ろしいことになってるに違いない


「とりあえず中に入りましょ……ギャアアア!」


一人がなんか爆発した


「結界張ってるな。触れたら爆発する結界だ」


やはり外見は罠か


「アニキ、ベルがありますよ!」


インターホンの代わりですねわかります


「鳴らしてみろ」


「はい」


リンリン、と音が響いた


「はいはい、どちら様ー!?」


魔女らしい服を着た赤髪のハイテンションな女が出てきた


「こちらにうちのベイルがお邪魔してると聞いてきましたー」


「あら、可愛いわね僕!食べちゃいたいわぁ!」


魔女は流れるような動きで近づいてきて、俺を抱き締めた

話聞いてねぇ……


「「「羨ましい……」」」


そんなことより助けろ

無駄にデカい胸のせいで苦しい


勇者の腕力を持っても振りほどけないほどの力って魔女怖ぇ……


ソラが魔女を止めなかったら死んでいた


「ぜぇぜぇ……。死因が胸の中で窒息死とか笑えねぇよ」


「あら、私の胸に溺れて死ぬなんて素敵よー!」


始末しようか?

【スキャン】……Lv317


「帰るかソラ」


「……分かった」


ツバキに土産でも買ってな


「「「えぇー!?待ってくださいよアニキ!」」」


「あの魔女はいかん。勝てても無事じゃすまん」


悪魔執事ほどじゃないにしても強いぞあれは


「頭領がいなくなったら誰が俺達を率いるんですか!」


「知らんな」


「アニキしかいない!」


「「「それだッ!」」」


「それだ!じゃない……。仕方ない交渉はしてみるか」


魔女に向き合い


「ベイルを返すか、死か好きなほうを選べ」


「「「交渉……?」」」


細かいことはいいんだよ


「返してもいいけど条件があるわよ?」


「ほほぅ、条件はなんだ?」


「あなたを貰うわぁ!」


「死にたいようだな魔女!」


さぁ、バトルスタートだ!


「嫌よ、あなた私より強そうだし」


「まぁ、勇者だしな」


「へぇ、今の勇者はあなたなの……」


舐め回すように俺を見てくる魔女

帰っていいですか?いいですね


「撤退だ」


「アニキ!あと少しだけ頑張ってくださいアニキ!」


ヤダよ面倒くさい


「そういや、なんでベイル拐ったの?」


「お子様には言えないようなことをするためよー!」


何故、くねくねしてるんだ?

言えないこと……魔女が、そうねぇ、と言いながら


「この家のお菓子を取ってみなさい」


お菓子の家の周りの結界を解いた


「ん?こうか」


俺は近くのクッキーを引っこ抜いた


「やっぱり子供ねぇ!」


クルクル踊り始める魔女


「大人はね、この家のお菓子を取れないのよー!」


な、なんだってー!


「おい、お前等、取ってみろ」


「「「了解!」」」


結果、盗賊達は誰一人お菓子を取ることは出来なかった

ソラは取れた


俺、松永 雄樹、18歳。自分がまだ子供と知る


「さて、帰るか」


「「「アニキ!まだ「帰るか、死ぬかだ」……帰りましょう!」」」


いい判断だ


「あら、もう帰るの?」


「あぁ、邪魔したな」


俺達はお菓子の家に背を向け来た道を引き返した




「しかし、狂気の魔女って言うほど狂ってなかったな」


あれくらい普通だよな?

おい、お前等、何故、目を逸らすんだ?


それはそうとして、ここら辺に……いたいた


「よぅ、ベイル元気してるか?」


匍匐前進をしている猫耳マッチョに声を掛けた


「……ッ!なんだ雄樹とお前達か。助かったぜ」


ベイルは怯えた目で振り向き、俺達と認めると安堵した


「頭領、ご無事で!?」


ベイルに駆け寄る盗賊達


「俺は何もしてないがな」


肩を竦めて笑った


俺は魔女と戯れてる間にベイルが自力で脱出していたのを見ていただけだからな


「ベイルが無事だったし、俺は帰るぜ」


俺はソラと共にお菓子の家のクッキーを頬張りながら帰った




後日、ベイルはまた拐われたそうだ


「もう俺は知らん」





読んでいただきありがとうございます!



「俺は必ず生きてアジトに帰るんだ……」



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