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109、ショコラを訪ねて二時間くらい




今、俺は腕と足を怪しい薬を飲むことで治しショコラのいるであろう場所に乗り込んでいる

薬の副作用が気になるところだが魔女は踊りながらどこかに消えたので分からないままである


「たぶん大丈夫たぶん大丈夫……」


自己暗示をかけながら慎重に進む

見付かることへの危惧より薬の副作用の方が不安でしょうがない

見回りをしている連中に気付かれないようにするのは面倒だが俺より弱い

いつでも殺れる

が、騒ぎを起こすのも面倒

面倒しかないと思いながらクロルに借りた地図を頼りに目的地へ向かう



勇者潜入中……



長い、道のりだった

地図通りに進んでいたはずなのに入口に戻っていたり、地図になり隠し部屋を見付けたり、自分がもてつもない方向音痴だったことを思い知らされる冒険だった

本来、15分で着くものを2時間かかるとは、ここまで酷いとは思ってなかった……


流石、王城広い広い


「第二王子様ー、いらっしゃいますかー?」


目的地、魔女にヤバい薬を飲まされていたメイドの主である第二王子の部屋へノックせずに入る

許可?なにそれ食えるの?


「何者だ……?」


金髪のおかっぱ男が警戒心剥き出しの鋭い視線を向けている

いきなり知らない奴が部屋に入ってきたら誰だってそうなるだろうな


「そう警戒しないでくださいよー、今代の勇者、ユウと申します者ですからー」


間延びした声で警戒心を第二王子のほぐすように笑いかける


「おぉ、勇者であったか!入るといい!」


警戒心が少し高まったようだがそれをおくびにも出さず第二王子は俺を歓迎する

たとえ怪しい勇者でも化物だから形だけであろうと歓迎しないといけないなんて大変だなーと他人事のように思った

実際に他人事だし


「すまんな使用人は出払っていて録なもてなしは出来ん」


第二王子は別の使用人を呼ばずわざわざ自分で紅茶と茶菓子を出した


「今日は少し尋ねたいことがあって訪問させていただきました」


茶菓子はカステラのようだった

というかカステラそのものだ

久々に食うなー


「ほぅ?尋ねたいこととは?」


第二王子が出した少し変な、そう毒のような臭いがする紅茶には手を付けず本題に入る


「ちょいと悪さしてた貴方の部下を二人捕まえましてねー」


そう言った瞬間、第二王子は左手に持ったレイピアで俺の首を突こうとした

まだ質問に入ってもいないのに即行動かよ

いい殺気だ

だが、遅い

首を横に捩ることでレイピアを避け右の手刀で第二王子の手を叩きレイピアを床に落とす

それで第二王子は怯まず右手に茶菓子を食うために持っていたフォークを今度こそ首に突き付けようする

俺は身を少し屈め歯でフォークを止める

第二王子が足を動かそうとするのを読みフリーの左でボディーブローを決める


「……っ!」


「はい、もう一発」


身をくの字にする第二王子に追い討ちで回し蹴りもお見舞いする

蹴りの勢いで壁に叩き付けられ力なく崩れ落ちる


「あれ?やりすぎた?死んだ?」


人間って脆いなー

あ、俺も人間だった


「ゴホッ!生きているぞ勇者……」


流石に血返吐は吐かなかったが汚いものは吐いて第二王子は言葉を発する


「不意打ちならと思ったが無理であったな……」


「そりゃ、わっかりやすく殺気だたれてりゃなー」


死角に武器隠してるの丸わかりだったし、鞘から抜く音消してるつもりだったんだろうけど俺耳いいから聞こえる


「俺が来た理由は分かるよなー?」


「さて、私にはさっぱりだ……」


不意打ちしておいてまだ今更とぼける第二王子

ふてぶてしい奴だ


「さいで」


俺は第二王子に背を向け何もない壁へ移動する


「そこには何もないぞ……?」


不思議そうな顔をしているつもりなのだろうが一瞬眉が動いたのを俺は見逃さない

それに第二王子に聞かなくても聴こえてくる


「この壁の向こうからさ声が聞こえるんだよなー。扉がどこにあるかは分からんが」


「まさか……」


ニヤァと得意の悪人面の俺に第二王子は嘘だろって顔になる


「ご開帳ー」


治ったばかりの足で薄い壁を蹴破る


そこは隠し部屋になっていた


部屋に入った瞬間に熱気と臭気が襲ってきた


「おおぅ、こりゃ酷い」



部屋はパッと見で分かるほどに分かりやすい酷い状況だった

鼻が曲がりそうな臭いを忘れて笑みが出る


部屋の中には檻がズラリと並んでいてその中には拐われてきた子供が入っている

現在進行形で炙られている子供

全身の皮を剥がれて死んでいる子供

腕や足を切り落とされている子供

鑢でゆっくりと体を削られながらる子供

ゴブリンと交わり発狂している子供

犬のような魔物に生きながら肉を貪られている子供

多種多様な手段で痛め付けられ、辱しめられ、人としての尊厳 を壊され、ゴミのように死んでいく子供が大量にあった


「見るな……これは私の私だけの楽園だああああ!」


声を荒げて第二王子が走ってきた

俺を出迎えた時の表情は面影もなく、別人のように醜く狂気混じりの形相をしている


「楽園?これが楽園?この絶望に溢れた部屋が楽園だと言うのか!お前、最高にいい趣味してんな、おい!」


これは笑うしかない

笑いしかでない

笑わないはずがない

ショコラは手遅れかもしれないな


「俺も普通じゃないらしいが、こういう趣旨のは久々に見たぜ!アンタちょっと狂ってるなぁ!」


前の世界でこれに似たことをしていた奴は、未来ある子供達の道を閉ざすのが最高の愉悦だと言っていた

あれは俺も少し引いたがすぐに慣れた

今じゃ懐かしいなと笑いが出るほどだ

俺は倫理観なんてもの最初から持っていないのだから


「笑うな!穢すな!貶めるな!私の楽園に不純物が土足で踏み込むなああああ!」


叫びレイピアを振り回し向かってくる第二王子、それは冷静さに欠き見るに耐えない動きだった


「【ウィンド・サイズ】」


風の鎌が第二王子の足を刈り取る


「あ……?」


足が無くなった第二王子は理解出来ず倒れ込み痛みに気付く


「あ?ああああ!?足がああああ!?」


悲鳴を無視し魔法で斬り飛ばした足を灰にし、血を噴き出す足の断面を燃やし止血する


「貴様ぁ!王族を手にかけるつもりかああああ!?」


「安心してくださーい。殺しはしませんよー?殺しはね」


手を踏みつけ骨を砕き黙らそうとしたが苦痛の悲鳴が止まなくなった


分かっててやったんだけどね


「さて、ショコラ探すか。無事じゃないにしろ生きてるかもしれねぇし」


第二王子の悲鳴をBGMに檻の中を一つ一つ確認していく





読んでいただきありがとうございます!




黒勇者『俺のバトルフェイズはまだ終了していないぜ!』


全裸『ヒィ……!』


輝く男『なんて悪どい顔だ……!』


ネロ『こんな悪逆非道な行いが許される訳がありません!』


狂魔女『そうかしらぁ?』


強欲『ボウヤが勇者だなんて言っても信じられないだろうねぇ』


黒勇者『あぁ!?誰がチビだッ!』


約全員『言ってない言ってない』


天使『作者さんはぁ、執筆をぉしばらくしてなくてぇキャラ忘れてたみたいですねぇ』


天才『ユウが小さいってこと?』


全裸『ルゥが無乳なことじゃね?』


天使『違いますよぉ。ネロさんがぁボクっ娘なこととかですぅ』


盗賊頭『そういけば、ネロは女だったな……』


黒勇者『アンナ、アホ毛引っこ抜くから覚悟してろよ?』


灰狼『イッツショータイム』





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