102、大罪との戦い 始め
方針の決まった雄樹達の行動は素早いものだった
ミュラーが町中を駆け回り、なんだかんだで魔女が目的のものを見付けた
当初の予定通りに幼女の亡骸を誰よりも早く誰にも目撃されずに回収し図書館に運べたところまではよかった
が、やはり現実そううまくはいかないものだ
図書館の奥、アンナの書庫で幼女の解体をしたのだが
「まず、死体のよーじょーの体の隅々、穴という穴を!あーんなとこやー!そんなとこをして調べて!その後、解剖して!性「自主規制しようぜ」つれない子ねー!」
「結論だけ言え、結論だけ」
魔女は目を閉じ息を大きく吸い……これただ無駄に勿体振ってるだけだな
「この子から体液が取れなかったのよー!残念だったわね!諦めて踊りましょう!イェーイ!」
魔女は一人踊り出した
これが中々上手い
「つまりぃ、無駄足だったということですねぇ」
「ところがそうでもない!」
「なんか分かったのかアホ毛?」
「アホ毛じゃないアンナだよ!」
「分かってる冗談だ落ち着けよ」
「僕はいつも通り落ち着いてるよ」
落ち着いてるだと?なら、なんでアンナのアホ毛はドリルのように回っているんだ……?
「コホン。昨日、街を駆け回ったのは無駄じゃなかったんだ……」
気を取り直してアンナが出したのは
「サンドラ王国では滅多に食べれないマギロだ!」
デカい魚だった
「マギロ……だと……!?」
ベイルが目を見開いて驚いていた
珍しい魚なんだろう
だが……
「お前、ここでボケ入れてくるか……」
「書庫でぇ、魚の解体なんて正気ですかぁ?」
既に子供を解体してるから手遅れだろうが
「だって、だって、自慢したくなるじゃないか!凄いだろって!」
アホ毛が不安げに揺れている
ここはフォローしないとか?
「凄いなー。流石、天才錬金術師だー」
「うわー、凄い棒読み」
うん、自分でも思った
「で、冗談はこれくらいにして本気で手掛かりないのか?」
勇者パーティーが小物相手に手掛かり一つ掴めないとは情けない
勇者、1mmたりとも動いてないけど
「冗談じゃないことを言うなら……お痛してる子達が次に襲う場所なら分かるわ!」
「「「なんで?」」」
「回収してきた物に体液は付着していなかったわ。で・も!魔法を使ったみたいでね?魔力を僅かに感じたのよ!私は!ほんの少しの魔力を見ればそれだけで追えるの!企業秘密よぉ!」
腰に手をあて自慢気に胸を張る魔女
「…………。それって犯人の襲う場所じゃなくて犯人の居場所を特定出来るよね?」
俺達はアンナの疑問と同じことを考えたがベイルだけ
「待て。俺は一度も魔力を使っていないぞ?なのにどうして俺のいる場所が分かるんだ……?」
何かに気付き震えていた
「探知魔法がなくとも分かるわよ。愛は魔法を凌駕するものよー!」
凄ぇ、流石ストーカー、凄ぇ
「こうなったら風の国に逃亡しかない……」
震えるのを止め、決心したかのように馬鹿なことを言うベイル
「落ち着け」
どんだけ追い詰められてんだ
無事、風の国に着いても魔女は絶対追い掛けてくるぞ無理すんな
エレクトル帝国に逃げると言わなかったあたり、まだ理性は残っている……よな?
あそこ人間以外の種族、奴隷扱いらしいからな
「で!次に襲われると思う場所はここね。私は散歩に行ってくるわー!」
紙切れを残して、魔女は風のように去っていった
「あ、逃げた」
「いいじゃないか。奴の分まで食うぞ」
「マギロなんて何十年ぶりだろうな」
ベイルが慣れた手付きで解体してくれた
「刺し身でぇ、戴きましょうかぁ」
「醤油は右から12番目の本棚の上から5段のところだよ」
書庫に調味料が何故ある?
この司書、本当に大丈夫か……?
マギロって脂が乗ってて鮭みたいな味なんだな……美味かったよ
さて、食後の運動に出るとしようか
「よぅ、そこの執事とメイド」
「「……!?」」
食後の運動に偶々通り掛かった貴族の家で寝ている幼い女の子に魔法で更に深い眠りにつかせ拐おうとしている怪しい二人組を偶然にも見付けた俺は声を掛けた
「家の方が起きておられましたか」
「いえ、この家に子供はこの娘しかいません。彼は用心棒かと」
抑揚のない平淡な声で話す執事とメイド
「ん?違う違う、俺は通りすがりの一般人だぜ」
勇者になる前は普通の学生だったし
「一般人にしては強すぎますね」
「二人掛かりでも勝てる相手には見えません」
一目見て相手の実力を測れる、あんたらも相当だろう?
まぁ、慢心しても負けないな
「安心しろや。殺しはしない腕と足を斬り落とす程度だから」
【亜空間】から短剣を抜く
「それは困ります」
「主人の御世話が出来なくなってしまう」
執事とメイドの声に僅かな鋭さが加わった
「その主人は殺す。世話は出来なくなるさ」
「それは命に代えても阻止せねばなりませんね」
「ここで貴方様を始末させて頂きます」
言葉の割りに構えないな
それどころかいつでも逃げれるよう背後に気を配っている
どういうことだ?
考えられる可能性は……
「二人だけじゃない、か?」
答えは下から来た
床を文字通り食い破って太った男が襲い掛かってきたのだ
俺は床が食い破られる前に気付いたから床を蹴ってバックステップで下がれた
気付くのが遅かったら足は確実に持っていかれてた……
床を食い破って登場なんて、漫画じゃあるまいしやるなよ危ないじゃないか
「あとは頼みましたよ《暴食》様」
「私達は退きます」
執事とメイドは太った男にこの場を託し撤退していく
「《暴食》、《暴食》か……面倒なの出てきたなー」
「肉、食う……!」
ショコラを取り戻そうと思ったら《七大罪》の一人とタイマン張ることになりました
読んでいただきありがとうございます!
はいはーい!天の邪鬼でーす!
戦争(公募推薦)を越えてきた天の邪鬼でーす!
落ちる予定なので一般まで戦争は続きまーす!
一週間ぶりの更新ですね……
最近、忙しいですよね
本当だヨー?天の邪鬼嘘吐かないヨー
ブックマークは減るどころか増えているのは素直に嬉しいッスよ!
次の更新は何時になるかな?
明日かもしれないし、来週かもしれない
気分の赴くままに書きますからねお兄さんは
ではでは、また次回お会いしましょう!
「綺麗事を言うつもりは無い
悪怯びれるつもりも無い
俺は自分の娘と孫を守るためだけに他の世界の住人全てを売る!
そして……
俺の息子に二度と家族を失わせはしない!」
by カッケー!と思うが家族を失っても動揺しないような薄情な天の邪鬼