100、新たな日常的事件への手紙
ショコラ達がお悩み相談を解決して暫くダラダラ何事もなく過ぎていった
あったことといえば冒険者ランクがFからDまで上がったのと、何故か泣いているシルヴィアに白甲冑を殴って綺麗にしてもらったくらいだ
「《欲深の銀鼠》から報復があると思ってたんだが何のアクションもなかったなー」
幹部二人を殺した盗賊団に何の仕返しもなく終わる訳がない
レヴィが覚えてろよ的な発言をしていたし報復の意思は明白
「これが嵐の前の静けさってやつか……」
まぁ、嵐が来てから対処すればいいか、と俺は考えるのを止めた
ソラとツバキは貧乏貴族(♀)の屋敷に遊びに行った
全裸は騎士団に捕まって牢屋で飯を食ってるとチャット機でほざいてた
ミュラーは寝てる
ルゥは山へ熊狩りへ
今はネロくらいしかいね……
「ネロ、私が参りましたわ!」
そうでもなかった
バン!といつも通り扉を開けネロと隣に座る姫様
「エミリア、毎日毎日来て大丈夫なの?」
ネロと二人っきりという極めてどうでもいい状態から姫様が来て多少面白味のある状態になった
「問題ありませんわ。クロルがいますもの」
あの悪魔執事も大変だな、と思いながら珍しく毒が盛られていない紅茶を飲む
「(ショコラは……《狐の巣穴》にでも行ってるのか?)」
初めて会ったときショコラが持っていた【竜殺し】は《強欲》のジジイから貰ったそうだ
それ以来も度々足を運んで俺が渡している小遣いで買い物をしている
ショコラが作る毒薬の材料は殆どが《狐の巣穴》で買ったものらしい
「(いや、違うか。昨日からいなかったし、なんかあったか?誘拐だったら笑うな)」
全裸やルゥが帰らないことはよくあることだがショコラは初めてのことだから多少心配になる
「(ショコラの毒があれば並の人間なんて相手じゃないし違うか)」
雄樹は失念していた
ショコラは雄樹とテオをよく毒殺しようとするが――それ以外の他人を傷付けることを躊躇する普通の子供でしかないことを
「アニキ、大変だ!」
姫様と同じ様に扉をバン!と開け駆け込んできた反乱軍のオッサン
「あ」
「あべしッ!?」
俺はそれに反射的に蹴りを入れてしまった
「ユウ様、何してるんですか!?」
「蹴りやすそうだったから蹴った。俺は悪くない」
「どう考えてもユウ様が悪いですよ!?なんでそんなに自信満々に開き直ってるんですか!」
「ア、アニキ……、それより大変なんだ……」
俺に蹴られ瀕死になって床に伏せているオッサンがなんか言ってる
「おじさんも大変なことになってますよ!?大丈夫ですか!?」
口から血吐いたくらいで大袈裟だなネロ
姫様なんか一度もオッサンに視線向けてないぞ
ネロ以外視界に入れてないぞ
「こ、この依頼を……頼み……ましたぜ……ガクッ」
こいつ自分でガクッって言いやがったよ
「おじさんー!?」
ネロ五月蝿い
「依頼?お悩み相談のことか?」
死んだようで気絶してるだけのオッサンが取り出しかけていた紙を見る
「〈拐われた子供を探してください〉?〈あの子の仇を討ってくれ〉?〈娘が殺される前に助けてください〉?どういう相談だ?説明しろよオイ」
瀕死のオッサンに下級魔法【ウォーター・コール】をぶっかけ意識強制帰還させる
「ユウ様扱い酷くないですか?」
ジト目で俺を見てくるネロ
「テオのときよりマシだろ」
全裸なら上級魔法で木っ端微塵にしてるぜ
「確かにそうで……じゃありません!テオさんにも優しくしましょうよ!」
「これはどういうことだオッサン」
「無視ですか……!」
分かっているなら言わなくていい
「大丈夫ですわ。全裸など俗物に気を使うネロの優しいところ、私がずっと見てますの」
口説こうとしてるんだろうかネロとの距離が近い
「エミリア……」
百合の花が咲き乱れる――ということは当然なかった
寧ろ、引いてる
姫様の目が怖いようだ
「アニキ、最近噂になってるあれですよ」
「あれだ?」
ここ一週間引きこもり祭だったから外のことは分からんのだよ
「あれっていうのはですね――」
反乱軍のオッサンの話では
今、サンドラ王国では誘拐殺人事件が頻繁に起こっているらしく
誘拐されるのは小さい女の子オンリーで誘拐されて数週間したら死体になって発見されるとのこと
それも暴虐の限りを尽くされて死んでいるらしく見るも無惨な姿になって発見される
反乱軍が預かっているお悩み相談ボックス(雄樹は気付いていなかったが)に『誘拐された子供を助けてくれ』や『殺された娘の仇を取ってくれ』という依頼が殺到しているという
ギルドに依頼しに行けよ、とは流石にプライドを下水道に投げ捨てて泣きながら懇願する大人達に言えず適当に受けることにした
所詮、よくある誘拐事件と思い俺に言わず反乱軍だけで適当に解決しようとした
しかし、適当とはいえ反乱軍の総力で探しているのに手掛かりの一つすらあがらない
犯行時間すら特定出来ない
朝、昼、夜のいつでも事件が起こる
国のどこで起こるかも分からない
貧民層でも裕福層でも子供が誘拐されて消える
誘拐犯が複数いることは分かるが何人いるか分からないのでは意味はない
目撃者は一人もいない、てか生きていない
運悪く目撃した者は胴体から首をグッバイするかグロテスクにモザイク修正の掛かった死体になるらしい
誘拐犯は相当なプロなんじゃね?
自分達じゃ無理くね?と判断しアニキ(俺)に泣き付いてきたという
「なるほどなー」
行方不明の子供はこうしている間も増えているかもしれない
当然だこれ程の大国なのだから人拐いが大量発生してもおかしくない
「結論、面倒だから動かない」
雄樹は欠伸をしながら動かない宣言をした
「アニキ、その心は?」
雄樹を盲信しているこのオッサンはアニキほどの方が面倒というのには深い理由があると考えた
「んなの子供誘拐して目撃者もろとも惨たらしく殺すのが人拐いの間でブームになってるだけだろ。俺が出て百、二百人殺っても状況は変わんねぇだろ」
「人拐い根絶出来るんじゃないですか?」
アニキ凄ぇ!と、このオッサンの中での雄樹への盲信度が上がる
もっとも、何を言ってもオッサンのいいように解釈され雄樹の評価は上がるのだが
「(根絶なんて無理だろ人拐いなんて雑草のように沸いてくる
わざわざ言う必要はないな
てか、眠い)」
そんなこと知らないし知るつもりもない雄樹は惰眠を貪ることにした
「でも、困っている人がいるならどんな困難があろうと手を差し伸べる――それが勇者の在り方だと思いますユウ様」
ネロは惰眠に入ろうとしている雄樹に自分の意思を示す
雄樹が動かなくてもこの少年……少女は事件を解決しようとするだろう
「それはお前の理想でしかねぇよ?」
「そうですね。これは僕の理想です。僕は理想を現実にしたい」
まるでラノベの主人公のようなことを言い聖剣を手にするネロ
「ネロ、私も共に参りますわ」
ちゃっかりヒロインポジションに収まる姫様
「はぁ、ネロがそこまで馬鹿言うんだ。暇潰しに少し付きあってやるよ」
「ありがとうございますユウ様!」
爽やかスマイルを浮かべるネロ
くっ、これが主人公力か!眩しい……!
「礼は要らん暇潰しだって言ったろ?」
「雄樹様に敵うツンデレはいませんねぇ」
レヴィにボコられたダメージも治り元気になった天使が馬鹿なことを口走っている
「ミュラー、新しい超級魔法の的になってくれねぇか?
てか、なれ」
俺のどこがツンデレだ?あぁ?
姫様もライバルとか言わない
ライバルとかねぇから
ネロ男って設定で通してるからホモになるだろうが
「冗談ですよぉ。許してくださいぃ」
ミュラー凄い笑顔だぜ
許しを乞うている者の顔ではないぜ?
「アニキ、副リーダーから情報が入ったとのことです」
どうお仕置きしようかと悩んでいるとオッサンから声がかかった
「なんだ?てか、まだいたのな」
「他人に酷くないですかユウ様……」
「それがぁ、雄樹様ですからぁ」
「なんかこう……ゾクゾクきますよアニキ!」
Mだー!オッサンがMに目覚めたー!キモいいいい!
「消すか……」
汚物は消毒だよな、うん
反乱者『勇者殿、よろしいですか?』
ジーノから催促か
ち、命拾いしたな変態
読んでいただきありがとうございます!
はいはーい!天の邪鬼でーす!
練習の第一次受験大戦は終わったぜー!
さぁ、来週は本番の第二次受験大戦だー!
これに落ちたら来年まで戦争が長引くぜー!ヤッハー!
試験は英語がピンチ!面接はアドリブオンリー!
わぁお、無理ゲーだね!
現実逃避が捗るよ!
小説の下書き消えたんだけど、それも現実逃避で解決だ!
学校は欠点確定があるし天の邪鬼はそろそろ爆死しちゃうゾ!
アハハハハハハハハハハハハ(作者は精神が廃になっています)
まぁ、頭がおかしいのはいつものことなのでどうでもいいですね!
序章と閑話、キャラ紹介を抜けばこれで100話目です!祝100話でーす!
100話は特別編みたいなの書きたかったんですけどイマイチ頭が働かず(いつもとか言っちゃいかん)ハロウィンネタはボツとなりました!
普っ通に本編です!
今回の騒ぎでは雄樹と《暴食》、《色欲》、《強欲》、《憂鬱》、《憤怒》、《怠惰》、《虚栄》、《傲慢》、《嫉妬》の中の一人と戦いになりまーす!
《七大罪》なのに九人いるとか気にしちゃ駄目だぞ?
九人とも設定考えたんだから仕方ないよね!
二人ほどは《七大罪》のメンバーではなくそれっぽいキャラで出すだけだし……今ところは
by 話もっと捻りたいなと思ったらおかしな方向にいきそうになった天の邪鬼
シスタ『自分、出番がないんっすよおおおお!』
天才『キャラ無駄にいるからね――ドンマイ』
輝く男『誰しもそんなときがあるものさ――ドンマイ』
狂魔女『あら?ここ最近出番が一番ないのって――ドンマイ』
シスタ『裏切り者おおおお!』
黒勇者『信じる者は裏切られるな』