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99、ショコラ 帰宅




ショコラ達は二人の援軍による一方的な蹂躙を見ていた

カポネほどの強者はいなかったものの疲労などで実力が同等くらいの者に圧されているところ、いきなり現れたベイルと魔女が一瞬で仕留めてみせたのだ

あの二人が潰しているのは人の体ではなくトマトなのではないかとショコラが錯覚し始めるくらいに圧倒的なものだった


「頭領がいれば私達の出番はないかなー。

皆!少年の妹を助けに行くよ!」


『『『おおおおー!』』』


ほぼ障害が取り除かれた今盗賊団の仕事はスピーディーに進んだ

《欲深の銀鼠》のアジトの奥にある牢屋に閉じ込められている少年の妹と拐われてきたであろう人々を解放し、保護、ついでにアジト内にある金品を一つ残さず盗み、解放した人々の気分を損ねないように魔女の魔法で汚物(死体)どころか血の一滴もなくなったアジトを脱出

盗賊団は盲目の少年に早く妹の無事な姿を見せてやりたいと全速力で去っていった

解放した人々はショコラに丸投げである

ショコラは文句を言いながら結局、解放した人々を引き連れてふらふらなルゥと共にベイルに担がれてアンミナ国に戻っている時


魔女が《欲深の銀鼠》のアジトを支えていた魔術師達を殺したことでアジトは崩壊しなくなった

殺るなら徹底的に慈悲など魔物に食わせろと雄樹に冗談半分で言われたことを実行する

狂気の魔女に冗談は通じなかったりする




アンミナ国にて


ショコラとルゥはアッシュの母親を連れてアッシュの家に戻ってきた


「かーちゃん!無事だったか!」


泣きながら母親に抱き着くアッシュ


「あらあら、急に泣いて何かあったのアッシュ?」


アッシュの母親は一言で言うと天然だった

《欲深の銀鼠》のアジトの牢屋の中でこの女だけ笑顔を浮かべていた

自分が酷いことに合うかもしれないということを自覚していないのかと盗賊団を戦慄させた

それほど、おかし……天然だった


「かーちゃんを助けてくれてありがとよ。……ショ、ショコラ」


ショコラ達が《欲深の銀鼠》のアジトに行っている間に名前で呼ぶ練習をしていたのが功を成し、ついにショコラを名前で呼べたアッシュ君13歳


「私の都合で助けただけよ。気にしなくていいわアッシュ」


想い人の名前を呼ぶだけのことを練習している奴が存在していることを知らないショコラさん12歳


「あらあら、ショコラちゃんの都合っていうのは薬のことかしら?」


アッシュの母親はド天然であっても馬鹿ではない……ことがごく稀にあったりなかったり


「話が早くて助かるわ。《魔物化》を治す薬が欲しいの」


アンナから無理矢理聞き出したほうが早かっただろうなと思っても己の行動に後悔など基本しないショコラは同じ考えに至り複雑な表情をしているルゥと違い膝を付かない


「そうねー。アッシュが色々とお世話になったみたいだし、お礼に作ってあげるわ。

将来の娘「わぁ!」になるかもしれな「黙れよ!」い子の頼みでも「黙れええええ!」アッシュ元気ねぇ」


アッシュが止めに入る度黙りアッシュが黙ったら途中から喋るという母親にアッシュはルゥと同じように膝を付いた


「なんのことかは分からないけど、作ってくれるなら問題ないわ」


アッシュの母親が言ったことが分かるほど恋愛が得意ではないショコラ

ハインツの親馬鹿によりキスで子供が出来るとまだ信じてたりする




次の日、ショコラは《魔物化》を治す薬を入手した


「ショコラの初めてのお使い何事もなく終わったな」


「……一件落着」


普段着の雄樹とメイド服のソラがお茶していた


「色々とあったし、まだ終わってないわ。

……それより、なんで貴方がここにいるのかしら?」


ショコラはナイフに無色の毒を塗りながら質問する


「家のお嬢様をお迎えに参っただけでございます」


慇懃に頭を下げてみせる雄樹

しかし、執事のような服装ではなく、忠義の欠片も感じさせない雄樹には酷く似合わなかった


「私の執事にでもなりたいの?」


溜め息を吐くショコラ

この男、たまに戯れに何かの真似事をして飽きるまでその役割を演じるのだ

お兄さんぶりしてきたときは困ったものだった

長くて3日しか持たないが


「滅相も御座いません。お嬢様に仕えた日には自害を命じられるでしょうから」


「よく分かってるわね」


毒をたっぷり塗ったナイフを投げるショコラ

それをトレイで防ぐソラ


「厄介なメイドだわ」


「……主に手は出させないと言ったはず」


いつも通り繰り広げられる日常にほっこりする雄樹


「なぁ、あいつ等、ショ、ショコラの知り合いなのか?」


突然現れたチビ(雄樹)と仮面のメイドに驚き会話に付いていけなかったアッシュ


「えぇ、そうよ。あれは……私にとって大事なものよ」


雄樹をどう殺すかと想像する

それが明日を生きる気力となる


「大事な人……?」


アッシュは困惑していた


「(それってショコラの好きな男ってことか!?)」


この少年、勘違いをした

雄樹に対するショコラの顔に好意など一欠片も見えないというのに勘違いした


「よぅ、少年、家のショコラが世話になったな」


「べ、別にショコラのためなんかじゃ……て、違う!俺、お前に負けないからな!」


アッシュはいつかショコラを振り向かせるような強くて良い男になると決意した


「ほぅ?そういうことか。強くなれよLv24じゃ話になんねぇからな」


「う……!」


アッシュは分かっていた

目の前の自分と同じくらい、いや、少し低い(身長が)少年が父親より強いことを

弱者の勘が告げている怒らせたら死ぬと……


まぁ、雄樹がキレるようなことをアッシュが出来るとは思えない


「そうだ。貴方にこれをあげるわ」


ショコラは《欲深の銀鼠》のアジトで盗賊達が戦利品として拾ってきたカポネの大剣をアッシュに押し付……プレゼントした


「俺にか!?べ、別に嬉しくなんてないけどな!」


満面の笑みを浮かべ

はっ、となって

顔を赤くして逸らす


「(え?ツンデレってやつか?実在したのか……)」


流石は異世界、と雄樹は引いていた


「……押し付けられただけなのに気付いてない?」


首を傾げているソラ

狐のお面なら可愛らしかっただろうが、道化の仮面を被っていると馬鹿にしているように見える

今度別の仮面を買おうと今更思った勇者だった


「ソラ、言うな。利害が一致してるならそれでいいじゃねぇか。皆、幸せだろ?」


ショコラはゴミを押し付けて、アッシュはゴミをプレゼントと勘違い

ゴミを押し付けられた気付かなければ誰も傷付くことはない優しい嘘だ

違うか


「その大剣を使いこなせるようになったら、あいつを倒(殺)しに来てね」


大剣を持ち上げようと悪戦苦闘しているアッシュの耳元で囁くショコラ

絵面は子供同士で微笑ましいものだがショコラの言っていることで台無しだ


「お、おう……任せろ!」


それを聞くとショコラは作り笑顔ではない本物の笑顔を浮かべた




「じゃあ、さよなら。期待してるわよアッシュ」


「別にお前のためじゃない!……またなショコラ!」

「あ、終わった?じゃあ帰るぞー。

ソラ、寝てるルゥ持ってきてくれ。

もう持ってきてる?流石、ソラは偉いなー!

よし、【空間転移】」



【空間転移】でサンドラ王国に戻ったショコラ達はさっそく手に入れた薬を届けに貧民層の家に向かった

ルゥは起きなかったためソラによってネロの家の窓から帰還することになった

ルゥは窓を突き破り頭から落ちても目を開けることはなかったそうだ

それでルゥが死んだとネロが勘違いし騒ぎになったとかなってないとか


「失礼するわ」


「邪魔するぜー」


「……お届け物」


「お姉ちゃーん!」


ボロっちい家に入るとドゴッ、という音と共にコテヌがショコラに抱き着いた


「……っ!」


ショコラは初めて受ける腹へのヘッドバットのダメージにコテヌに抱きつかれたまま膝を付いた


「あのショコラが膝を付いただと……?」


「……あの子供出来る」


悪意のない子供恐るべし


「取り敢えず【ヒール】」


雄樹は子供が痛みを我慢しているのを見て喜ぶような性癖はない


「もっと早くかけなさいよ駄目執事」


ジト目で雄樹を睨むショコラ


「八つ当たりとは……お嬢様はおこちゃまでございますか?」


余裕で悪口を返す雄樹


「く……」


苦虫を潰したような顔になるショコラ12歳

正真正銘子供である

本人は子供のつもりはないようだ


「まぁ、いいわ。私は寛大私は寛大……。

コテヌ、お母さんにこれを飲ませなさいすぐに元気になるわ」


ショコラは《魔物化》を治す薬をコテヌに渡した

これでショコラの長いようで短い戦い(お悩み相談)を終えたのだ


「わーい!お姉ちゃん大好き!大きくなったらお姉ちゃんと結婚する!」


「へぇ、嬉しいこと言ってくれるのね」


子供の冗談だと軽く流すショコラ

これが後々ショコラの人生に関わるフラグだったことに気付くことはなかった――後ろで笑っている雄樹以外は




ネロの家にて


「久々に帰ってきたわね……」


「一週間もたってないけどな」


「揚げ足をとるのが好きなのかしら?」


「それが俺って人間だ。気にするな」


「だから友達がいないのよ」


「否定はしない。まぁ、それはおいといて――おかえりショコラ」


「……おかえり」


「「「おかえり!」」」




「…………。ただいま」





読んでいただきありがとうございます!




はいはーい!天の邪鬼でーす!

前話の宣言通り一週間更新しなかったのだけれどブックマークがそれほど減ってないのでーす!

減るほどないとか言ったら駄目ですよ?お兄さん泣いちゃうよ?

テストは終わったけど赤点確定なんだよね……

受験、頑張ろう……

公募推薦で受かったら毎日更新に戻す(かもしれない)けど受かるまで更新一週間に一、二回くらいにすることにしました!

最近、すぐに寝るから書く時間ないのよね

続きを期待してる人には悪いね

え?期待してない?……(´・ω・`)




「ここには何よりも屈服する事を拒んだヤツらが闘争に来てんだよッ!

戦闘員も非戦闘員も――仲間の誰もがだ!!」


by 現実に屈服なんてしないと誓って5分で折れた天の邪鬼

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