98、出番がない訳がなかったんや
レヴィは蒼白い閃光がこちらに向かってきていること気付いていた
避けるのは容易い
しかし、いざ避けようとした時、体が動かなかった
「(ンな!?動けねぇだと!?)」
閃光が直撃した
「大丈夫でしたかミュラーさん!?」
蒼白い閃光を撃った聖剣の持ち主、ネロがミュラーに駆け寄る
「ゲホッ!……ネロさんですかぁ。どうしてここにぃ?」
いつものミュラーなら「これがぁ大丈夫に見えますかぁ?」と言っていただろうが今のミュラーには余裕が見えなかった
「ふっ、仲間のピンチに駆け付ける――それがイケメンというものだよ」
ミュラーの問いにナルシストがウザいことを言う
「ユウ様が暇だし様子見に行こうと言ったので皆で来たんです」
ナルシストをスルーしてネロが普通に答えを言う
「安心するといい。俺が敵は華麗に倒……」
ネロのツッコミが入る前に、レヴィの蹴りでルシウスは飛んでいった
「ルシウスさんー!?」
レヴィの姿を見ると服が破れているくらいでネロの攻撃で受けた傷はどこにも見当たらない
「(死なないように手加減して撃ったけど無傷なんて有り得ない……!)」
「先ほど体が動かなくなったのは彼の魔道具のせいですね?
全く、お気に入りの服だったのに台無しじゃないですか……じっくりなぶり殺しにしてやるよ」
レヴィは怒りで普段の仮面が脱げかけていて、言葉の後半が素の口調になっていた
「――それはお前がなぶり殺しにされたいってことでいいんだよなぁ?」
言葉と共にレヴィの首から鮮血が散った
「俺の手駒が随分と世話になったみてぇだな、おい」
雄樹は【空間転移】でレヴィの前に現れ、短剣で首に一撃を入れたのだ
「テ、テメェ……!」
レヴィのストックの魂が今の一撃でまた一つ失われた
「一つ、いや、ネロの分もあるから二つか。後、何回殺せば死ぬんだ?」
目の前にいる少年は自分のストックしている魂が尽きるまで殺し続ける
そんな狂気が僅かに覗く目をしている
「(厄介なのが出てきやがったな……)」
首の切り傷はすぐに蘇生し、少年によって先ほど蹴り飛ばした男がハンマーのように叩き付けられた
「(こいつ、仲間を使うとかイカれてやがる……!)」
レヴィは行動に呆気とられ回避出来なかったがダメージはないといっていい
「ユウ、駄目だ!それ俺じゃない!不死じゃない奴だから!」
それを聞いた雄樹はルシウスを離し走ってきた全裸を立ち上がったところのレヴィに投げ付けた
「だからって投げるなああああ!」
「何故、全裸……!?【ダーク・サーペント】!」
レヴィは驚きながらも放った闇属性魔法の蛇が全裸に喰らいかかる
「なんで俺のときは迎撃するんだああああ!?」
仲間を使うのが二回目だからである
「貴方は……確か勇者でしたか」
「いやいや、俺はただの通りすがりのお兄さんさ」
「お兄さんとは背伸びがしたい年頃なんですかね?」
軽く冗談を言い合うようで悪魔と勇者の目から鋭い光は消えていない
隙を見せたほうが殺られる、そういう張り詰めた空気が漂う
「(冗談じゃねぇ!勇者なんて兵器相手じゃ命が幾らあっても足んねぇぞ……!)」
レヴィは雄樹が自分より弱いということに気付いていなかった
「(まともに殺り合えば100%俺が死ぬな……)」
雄樹はレヴィが自分より強く、向こうが本気でかかってきたら勝てないことに気付いていた
「(悪魔が俺の実力に気付く前に終わらす)」
勝つ必要はない
この場を凌げばいいだけ
なら、やりようなどいくらでもある……全く思い付かなかった
まぁ、なんとかなるだろうと悪魔と睨み合う真面目な顔の裏で適当に考えている
取り敢えず、仲間を引き連れてきたということ
「三つ目よー!」
レヴィは咄嗟に身を横に飛ばす
その直後、人間ハンマーではなく金属のハンマーが地面を抉る
「あら、避けたら駄目じゃない。やり直しよ!ほら、頭をここに持ってきなさい!ハリーアップ!ハリーアップ!」
レヴィはスルーした
「《聖剣》に《狂気の魔女》、今代の勇者ですか。分が悪いにも程があるでしょう……」
気絶しているルシウスと魔法で死んでいる全裸はカウントされなかった
「ここは退きますが覚えていてくださいね――《欲深の銀鼠》を敵に回したってことをよ」
「上等だ。皆殺しにしてやるよ鼠共」
レヴィは捨て台詞を吐き【空間転移】で姿を消した
雄樹は辺り潜んでいないか見回す
「…………。よし、あいつ逃げたな?はぁー、やってらんねー」
いつもの緩い雰囲気の雄樹に戻った
「やってらんねぇのはこっちだああああ!」
血煙になったテオは変わらず全裸で再生した
「全裸は復活早々元気だなー」
今はミュラーの手当てだな、と身を翻す雄樹
「そういや、ベイルはどこ行った?」
あいつも連れてきたはずだが、魔女がいるから逃げたか?
「マイダーリンなら、アジトに入っていたわよ?」
マイダーリンという言葉に引くネロと全裸
「魔女、お前も行くか?」
「イエー!祭りよ!カーニバルよ!」
ハイテンションでアジトの中に消えていった
「さて、帰るぞ」
「僕達は行かないんですか?」
安心した顔で寝ているミュラーをお姫様抱っこしているネロ
「ベイルと魔女が行ったんだ。俺達が行く必要ねぇさ」
雄樹達はミュラーの手当てのため【空間転移】でシルヴィアのいる教会に飛んだ
読んでいただきありがとうございます!
はいはーい!天の邪鬼でーす!
塾の宿題、学校の課題、テスト、受験勉強と戦争中のお兄さんでーす!
えー、作者は忌々しいことに学業などで忙しいのでー
一週間くらい投降休もうかなと思っていまーす
一週間更新しなかったらブックマークがどこまで減るか実験してみたいとか思ってませんよーう!ませんよーう!
ブックマークを付けている勇者達に敬礼ッ!
今日の格言「地獄で会おうぜ」
黒勇者『結局、出たな俺達』
天使『最後だけですけどねぇ』
ネロ『仲間がやられているのに家でじっとなんてしてられないですよ!』
約全員『これが主人公か……』
ネロ『いや、主人公は僕じゃなくてユウ様……』
輝く男『最後は一番の見せ場じゃないか!主人公の俺が出ない訳にはいかないだろ?』
約全員『はぁ?』
強欲『主人公だなんて人間ハンマーの分際で大きく出たねぇ』
復讐娘『で、なんで私達の居場所が分かったのよ』
黒勇者『チャット機は発信器にもなるんだよ』
天才『それを持ってる限り僕からは逃げれない!』
約全員『こいつ……っ!』