表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の国 ~異変~  作者: 夢野 幸
第九章 裏世界
32/54

9-1

 ヘルズ火山に行く前にジューメと別れた場所、ドロドロザコと戦った辺りで彼と合流し、ソーリスの元でも情報を得られなかったことを簡単に話した。すぐにルシアルへ向かうよう相談すると、ジューメとヴェントの二人はユーの顔を伺う。

「ユー、大丈夫か」

「え? あー……。大丈夫だよ、どうしたのアンス?」

 アンスはユーの手をヒョイと取ると手袋を少し上げ、手首に指を置いた。しばらく緩く目を閉じていたかと思うと、眉を寄せながら見上げる。

「心拍数が上がっていますね、緊張しているようですよ。無理はなさらない方がいい」

「うん、ちょっと緊張はするね。……今の大天使とはまだ、顔を合わせて話したことがないし」

「なんか、気になる言い方だな?」

 ジューメが言うと、ユーは小さく笑った。帽子越しに頭を掻き、自身の手の甲へ視線を落とす。

「実は、さ。リ・セントーレに帰った後、一人でルシアルまで行ったんだ。とりあえず、今の大天使は女性だってことくらいしか知らない、どんな人かも判らないから、緊張はするよ。……あれからまだ一年くらいしか経ってないし。でも、乗り越えないといけない」

 グッ、と強く拳を握り、顔を上げた。その表情には、迷いも恐れもない。

「彼女たちもボクと同じなんだから。行こう」

 翼を広げたユーに、ジューメも口の端を軽く上げた。ジューメが翼を広げるとそれに続くように二人も畳んでいた翼を開く。

 それから、ユーを先頭に、四人は地面を蹴ったのだった。


 その集落にたどり着くまでに、二度、月が昇った。あまり長距離の移動に慣れていないのだろうアンスは時折ジューメに背負われて飛び、ヴェントはユーに手を引かれた。

「確か……このあたりだったよな。もうあいつはいないのに、なお、見えないのか」

「……死にかけたボクを、ボロボロの体で、助けてくれただけの力はあったんだもん。入ろう」 

 地面に降りると、ユーは三人を振り返った。彼らはユーに近づきながら歩き、むにゅんとした感触に眉を寄せながら集落の中へ入る。

 集落の中を通っていると、いくらか好奇の視線を向けられたが、気にすることもなく塔に向かった。固く閉じられている門に目を閉じて深呼吸をすると、ユーはゆらりと、手を伸ばしていく。

 

 だが、手が触れる前に、門は音もなく開いて行ったのだ。

「……だって」

「入る、か」

 ひとりでに開いた門に誘われるように、ユー達は足を進めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ