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しばらく砂の上を進んで行くとアンスが言った通り、潜水艇が激しく揺れ落ちていくのを感じた。体が緊張する三人に目を向け、アンスは小型パネルから全員が見られるような大型のパネルに切り替える。それらの機械がどういう仕組みになっているのかは、乗り込んだ時から考えるのを止めていた。
「これから水深二百メートルに入ります」
「えええええ! ど、どういうこと? 海って青いものじゃないの?」
パネルに広がっていたのは、灰色の世界だった。それに目を丸くし、ヴェントとユーはパネルへ顔を近づける。そんな二人にアンスが小さく息を吐き出すのが聞こえ、ジューメはチラと彼に目を運んだ。
「こんなに深いところまで、日の光が届くと思いますか? あぁ、大丈夫ですよ。四百メートルを超したら完全に周囲が見えなくなってしまうので、ライトをつけます」
ヴェントがムッと眉を寄せるのも気にせず、アンスはパネルとコンピュータを弄り続けていた。ユーはムスッくれているヴェントを連れて元々座っていた場所に戻り、パネルに顔を向ける。
「無事に、何か解るといいね……」
灰色の世界を映し続けるパネルを前にユーが呟き、それに釣られるよう二人がうなずき。ただ、潜水艇を操作しているアンスの背を見つめるのだった。
パネル上のメーターが水深千メートルを示したころ、コンピュータを弄っていたアンスがパネルに目を向けた。
「……まさかこの目で、こんなに深いところまで来られる日が来るとは……!」
表情は変わらないが、目が心なしか輝いているように見え、ジューメはふと目を細めた。ヴェントやユーも不気味な海の住人が映るパネルを視界に入れながらも、静かにテンションを上げているアンスに目をやる。
「子供は子供、ってか」
「ああああ……この子たちを調べたい……! どういった生態系をしているのか? なにを食べているのか環境の適応にどのような能力を身に着けたのか……! もし、もし再び来る機会があれば採取機能を……」
身を震わせ、心の底から発しているのだろう独り言に、三人は思わず脱力し顔を見合わせて苦笑するのだった。




