6-1
――アンスは五日がかりで、小型の潜水艇を完成させていた。それを前に三人はポカンと口を開け、凝視している。
「マジか……」
「炎の竜人さん、ご協力ありがとうございました。それに、みなさんが材料の調達や組み立てを協力してくださったから、出来たのですよ」
あくび交じりに言い、一人中に入り込むと機械を操作し始めた。しばらくすると再び外に現れ、ユーを見上げる。
「では最後に、配達屋さん。……最終確認のために、この潜水艇に、あの巨大なハンマーを振り下ろしてもらっても? 集落の外までこれを運びますので」
上着から手のひらサイズの箱を取りだし、潜水艇にそれを向けた。箱を操作すると潜水艇がその中に吸い込まれていき、三人はますます凝視する。
「海辺まで行きましょうか。確認後すぐに、海へ入れるように」
「ま、待って! ねぇ、潜水艇といいその箱といい、どうやって作ったの? そ、そんなにすごそうなの……何かあった時に、悪い奴に使われたりしないよね?」
ヴェントが言うと、アンスは冷めた、しかし笑みの浮かぶ目を彼に向けた。その口元も笑っており、箱を上着の中にしまう。
「ご安心を。龍の鱗の成分、この箱の作り方。それらは全て、ここにしまってありますので。……何一つ、文字には残しておりません。それにこの国では、このような機械類はそうないものと思っております。見たことがありますか? この類の、機械を」
自身の頭を指の腹でトントンと叩き、薄い笑みを浮かべた。三人は彼の問いに揃って首を振り、マジマジと潜水艇を見つめる。
「今のところ、これを操作できるのは、恐らく私だけですよ。では、行きましょうか」
四人は砂浜に向かい、アンスに潜水艇を出してもらうと周囲に誰もいないことを確認し、ユーは眼を展開した。以前よりも空高く飛び、マトゥエの重さと重力に加え、垂直に地面へ向かって飛ぶ勢いをも利用して潜水艇へマトゥエを打ち付ける。
アンスの口角が、ニヤリと上がった。
「感謝いたします、これで、水圧にも潰されないだろうことが実証されました」
「……ジューメの鱗怖いー」
「バカ、怖いのはオレの鱗よりもこいつの再現率だろうが!」
言っているとアンスはすでに乗り込んでおり、三人も彼に従うよう中に足を踏み入れた。狭くもなく広くもなく、それでもやはり製作時間に無理をしたのだろう。ゆっくり出来るほどのスペースはなく、それぞれは膝を抱えたり、胡坐をかいたりして座る。
「出発します」
潜水艇が本体を揺らし、三人はビクリと肩を跳ねた。小窓から、目を凝らして外を見てみると、潜水艇の底に車輪が出てきているようで砂浜を滑るように海へ向かって行く。
「しばらくはこのまま、海底を走ります。……ある程度進んだところで恐らく垂直落下をしていくと思いますがご安心を」
と、パネルを見ながら言うアンスの背に向かって静かにうなずき。三人はただ、緊張した面持ちで先を見つめていた。




