生還
一章 生還
第一話三月探偵事務所
夏の照り返す太陽気温は30度を越え喪服の私を苦しめていた
「なんでこんな暑い時期に葬式なの?」
今年で五歳になる息子をつれて叔父の葬式に向かう途中の信号待ちで生田智子はボーっと立ち尽くしていた。
「お母さん?どうしたの?渡らないの?」
はっとなり息子の亮太の方を見た
「そっそうだね、行こうか」
息子の手を取り式場に向かう私はなぜか早足になった。
自分の番に焼香が回り、手を合わせようとした瞬間死体が起き上がった。
「クーラーが壊れるとは・・・この暑さでクーラー無しはだめですぅ・・・」
そう言うと三月楓は着ていたスーツの上着を脱ぎうちわで自分を扇いでいた。
三月探偵事務所は大阪市に立っていた雑居ビルの3階にあるこの事務所は20畳の部屋だけであったがもう一つ上の階をつなぎ上を楓の家下を事務所にしていた。
があまり仕事が来ず、来るとしたらある共通の以来ばかりだった
「三月さん、依頼が来たらどうするんですか?だらしないですよ?」
先月入ったばかりの新人の荒暮 亮でも楓のだらしなさと依頼の来なさは把握していた。
楓がぶつぶつと文句を言って頭に氷を乗せていた、亮もデスクに向かおうとしたとき、ドアの開く音がした。
「ここは三月探偵事務所ですか?」
そこには子供と手をつないだ女性がいた