脳内妄想暴走中
「う~みゅ」
にゃんこが机の上で唸っています。
どうやら魔法のお勉強中のようです。
少しずつ字が読めるようになって、簡単な魔法なら使えるようになりました。初心者用の魔道書を読むのすら苦戦していたあの頃からすれば、格段の成長と言えるでしょう。
「にゃんこ~。ちょっと休憩しない?」
魔女が手作りクッキーと美味しい紅茶を持ってきてくれました。
「にゃ! いいにおい! きゅーけいするっ!」
にゃんこは甘いモノが大好きです。特に魔女の手作りお菓子は大好物ですから休憩は最優先事項になりました。
「おいし~!」
「それは良かった。たくさん作ったからどんどん食べていいよ」
「うんっ!」
もっきゅもっきゅとクッキーを頬張るにゃんこは壊滅的な萌え具合でした。魔女の頬も緩んでいます。ついついセクハラしたくなりますがそこはぐっと我慢です。
「勉強の方はどう?」
「うん。ふぁいや~らんすがつかえるようになったよ!」
「それはすごい。あとで実演して見せてよ」
「うん!」
ファイヤーランスとはその名の通り、炎の槍です。成人男性の身長分ぐらいの長炎を圧縮処理して、ターゲットロックオンで黒こげにします。魔法のランクとしては中の下といったところでしょう。
対魔力のない一般人相手なら間違いなくうぇるだんの出来上がりです。
ちょっとだけ対魔力のある人間相手ならみでぃあむぐらいでしょうか。
そこそこ対魔力がある戦士であっても、魔女が放てば確実にれあが出来上がります。
魔女は魔力制御と術式効率化の達人ですから、初級呪文であってもかなりの威力を期待できます。
もちろんにゃんこはまだ初心者なので一般的な威力になりますが。
そうなってくると、にゃんこは魔女の使い魔というよりは弟子になってきているのかもしれません。
「弟子かぁ……」
素敵な響きだ……などと考えながらうっとりなる魔女でした。
師匠と弟子という関係にちょっぴり憧れがあるようです。
しかしにゃんこから『ししょ~』と呼ばれるか『ますたぁ』と呼ばれるか、どちらかを選べと言われたら一週間ぐらい悩むかもしれません。
非常に難しい選択です。
……あくまで魔女にとってですが。
「ますたぁどうしたの?」
「ん~。にゃんこ、ちょっと『ししょ~』って呼んでみて?」
「ししょ~?」
「ぐはっ!」
悶えました。
上目遣いで『ししょ~』にゃんこは破壊的萌え属性完備です。
一瞬だけタイ●ー道場が垣間見えるぐらい壊滅的です。
「ししょ~?」
「あうあうあう……」
ぴくぴくと悶える魔女です。
脳内妄想では体操服にブルマを穿いているかもしれません。
……変態画像になってしまうので速攻で削除しました。
にゃんこに性転換薬を試してみようかどうか、一瞬だけマジで悩みました。
その場合竹刀は必要でしょうか?
しかしにゃんこに竹刀を使うのは気が引けます。つーか無理、みたいな。
男なら間違いなく鼻血を噴いている萌え環境で、魔女はしばらくしょうもない悩み事で悶々としていました。




