オカマの癖に図々しい
にゃんこが逃げ出して一時間ほど経過すると、お待ちかねの性転換薬が完成しました。
一回の調合で五回分が完成しています。
そのうちの一つを丁寧に小瓶へと詰め込みながら、魔女がにんまりと微笑みます。
薬が完成したときの達成感は、何度味わってもたまりません。
「よっし」
五つの小瓶に全て詰め終わり、魔女は一息つきました。
『誘いの雫』
用法:性別転換。
効用:男性は女性に、女性は男性になる。その際、急激な変化に応じた激痛でのたうちまわることになる。一時間ほど地獄を味わった後に、望む身体へと変化する。ただし、望むビジュアルになれるとは限らない。
「とゆーわけで完成したよ」
魔女は今で待機していたオカマに小瓶を一つ渡してあげました。
「これであたしは念願の女性になれるのね!」
オカマは大喜びで薬を手にします。
「可憐な乙女にはどうやってもなれないと思うけどね……」
「飲んでみないと分からないじゃないっ!」
憤慨して言い返すオカマに、魔女はやれやれと肩を竦めます。
「代金は?」
「代金はいらない。その代わりこの場で服用すること。経過観察をしたいからね」
「……つまり、あたしは実験体ってわけ?」
オカマはじと~っとした視線を魔女に向けますが、魔女の方はしれっとしたまま笑っています。
「別に。嫌なら飲まなくていいんだよ。私は折角作ったんだからオカマが本当に女になれるのか観察したいだけだから」
あくまで好奇心の塊です。
ついでに言うと、ムキムキマッチョのお化けオカマが女性化した場合、どれだけおぞましいモノに仕上がるのかも興味があります。
「分かったわよ! この場で飲めばいいんでしょっ! 女は度胸―っ!」
オカマは覚悟を決めてぐいっと薬を煽りました。
「……女は度胸って、オカマの癖に図々しい」
「ほっといてちょうだいっ!」
オカマは空になった小瓶を勢いよくテーブルに叩きつけます。
そして下を向いて身体の変化を観察しようとします。
しかし……
「うぎゃーっ!? いたっ! いたたたたたーっ!?」
変化前の激痛に関してはまだ教えていなかったので、オカマは床に倒れ込んでのたうち回る羽目になりました。
「ああ、言い忘れてたけど、その激痛は一時間ほど続くから」
「なっ!?」
叫びたいのを我慢して脂汗を浮かべながら、オカマが絶望的な表情になってしまいます。
「身体が変化するんだからそれに伴ってダメージが生じるのは当たり前でしょう。たまーに耐えきれなくてショック死する人もいるみたいだけど、それだけ筋肉まみれの頑丈ボディなら大丈夫でしょ。とゆーわけで頑張ってね♪」
「――っ!!」
先に言えーっ! と言葉にならない悲鳴を上げました。
こうしてオカマの命懸け性転換試練が始まるのでした。




