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デッキブラシはロマンなのですっ!

 お金を手に入れた魔女は買い物に行きたくなりました。


 そろそろ家の中にある食材や調合材料が乏しくなってきています。


 先代魔女は街に潜ませている下僕に水晶玉で連絡して買い出しに行かせていたようですが、今の魔女では言うことを聞いてもらえるかどうか微妙です。


「買い物に、いくぞーっ!」

 魔女はやる気に満ちた表情で拳を振り上げました。


 しかしここから街までは徒歩で二日ほどかかります。

 馬はありませんし、こんな山奥までやってきてくれる馬車などもありません。


「となると、飛んでいくのが無難かな」

 魔女の記憶には飛行魔法も存在します。

 先代魔女は箒を使って空を飛んでいたようです。


 魔女にとっての悩みはただ一つです。


「箒にするか、デッキブラシにするか……」

 ……一見くだらない悩みに見えますが、地球世界の日本人として育った以上、割と切実な問題です。

 箒の方が魔力を通しやすいのは確かです。

 先代魔女が長年使っていた飛行用箒が手元にはあります。

 しかしデッキブラシで空を飛ぶのもある種のロマンではあります。

「うーん……」


 悩んだ結果、箒になりました。

 いえ、悩むまでもなく選択肢がなかった、というのが正しいのですけど。

 魔女の家にはまだデッキブラシは存在していませんでした。

 ないものでは空を飛べません。

 あと、よく考えるとデッキブラシを利用した場合著作権方面でバッシングを喰らいそうなのでやめておきましょう。

 パクりとか言われてはたまりません。


 魔女は箒に魔力を籠めます。

 掃除用の箒ではなく、きちんとした飛行専用の箒です。

 ……掃除用の箒は別に存在しています。


 ふわりと箒が浮き上がりました。

「ふわあ……」

 初めての飛行。

 空を飛んでいます。

 鳥になった気分です。

「では街までれっつらごーっ!」

 気分が良くなった魔女は空を飛んだまま拳を振り上げました。

「はわわわっ!?」

 そして片手で支えていたので箒から落下しかけました。……お間抜けです。


 こうして魔女は初めて街へと繰り出すのでした。


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