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勇者がやってきた!

「こんにちは。勇者だぜ!」

「………………」

 いきなり現れた珍客に、魔女は呆然としていました。

 着物に袴、日本刀を腰に差した青年でした。

 黒髪黒目のハンサム青年です。

「勇者だぜ」

「二回言わなくてもいい。……本物?」

「本物だぞ~。信用できないのか~?」

「そりゃあね。私がこの前聞いた伝説によると、勇者が世界を救ったのは二百年ほど前だから。となると貴方の年齢は二百歳を超えていることになる。……随分と肌つやのいい二百歳に見えるけど?」

「秘密の若作りだぜっ!」

 勇者はえっへんと胸を張ります。

「世界を救ったご褒美に神様から不老不死でももらったのね」

「いきなりネタバレしないで欲しいなあっ!」

 ただのあてずっぽうですが大当たりだったようです。

 そりゃあ世界を救ったんだから不老不死ぐらいは貰えるでしょう。

「試していい?」

「は?」

「不老不死なんでしょ? 本当に死なないかどうか試してもいいかな? 本物である証拠にもなるし」

「た、試すって何する気!?」

「この一帯に仕掛けてある迎撃魔法を最大レベルで稼働させてみる。ちょうど性能実験したかったんだよね~」

「そんな殺生なっ! 死なないけど痛みは感じるんだぞーっ! 鬼か君はっ!」

「鬼じゃなくて魔女なのさ♪」

 勇者相手にかなりいい度胸です。

 真偽は別にしても、敵として訪れた相手でもないのに迎撃魔法を稼働させようとしているあたり、かなりの外道です。

 鬼、悪魔、ロクデナシと言われても反論できません。

「耐えられたら信じてあげるね♪」

「ぎゃあああああっ!!!」

 ぽちっとな的ノリで迎撃魔法を稼働させた魔女は満面の笑顔で勇者に手を振りました。

 勇者は腰の日本刀を抜き放ち、必至こいて防御に徹していました。

 雑魚ならば最初の一撃で消し炭になっている筈ですが、きっちり防ぎました。

 かなりの使い手ですね。

「ちょっと待てーっ! 最初の一撃から殺す気満々じゃねーかっ!」

「えー。だって元々は侵入者用の迎撃魔法だし、敵は殺せるときに殺せっていうのが信条だし~」

「真偽を確かめる程度の事でそんな物騒なモノを発動させるなーっ!」

「でも耐えられたじゃん。ほら次くるよ~。頑張れ~」

「ひいいいいいっ!」

 魔女は全ての魔法を容赦なく発動させました。

 一撃目を無傷で防いだ時点で勇者だと信じてもよかったのですが、これは面白い見世物だと悪ノリしてしまったのです。

 高みの見物サイコー、な気分で。


 勇者、頑張って生き延びてください。


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