まうんとぽじしょにんぐ
「む……ここは……」
騎士団長は三十分ほどで目を醒ましました。
「あ、めがさめたよ、ますたぁ」
「ほわぁっ!?」
目を醒ますとにゃんこが上に乗っていました。
小さな身体でしっかりとまうんとぽじしょにってます。
耳がぴこぴこ、しっぽをふりふり。
とても可愛いのですが騎士団長としては反応に困ってしまいます。
「ええと、貴殿は……?」
「ぼくはにゃんこだよ~。ますたぁのつかいまなのっ!」
「は、はあ……」
騎士団長の上に乗ったままえへんと胸を張るにゃんこ。
どうでもいいけど早く降りろと誰か突っ込みましょう。
「にゃんこー、お茶淹れたからテーブルまで運んでよ」
「はーい」
台所の方から魔女の声が聞こえたのでにゃんこはぴょこんと騎士団長の上から降りました。
その際バネを利かせてしまったので、
「げふうっ!」
騎士団長の腹部が大変なことになっていました。
鳩尾に集中して体重がかかったようです。
「ぐ、ぐおお……」
悶絶している騎士団長を見つけた魔女はやれやれと溜め息をつきます。
「うちのにゃんこはやんちゃだからうっかりすると酷い目に遭うよ~」
「そ、そのようでござる……」
しかしそこはさすがに歴戦の騎士。
すぐに回復させて立ち上がりました。
「どうやら世話をかけてしまったようでござる。面目ない」
「いいよ。馬鹿正直に賞金を届けてくれた人を家の前で放置するのも目覚めが悪いしね。申し訳なく思うならお茶くらい飲んでいってよ」
「かたじけない」
テーブルの上に置かれた緑茶をすする騎士団長。
和服に湯飲みはとてもよく似合います。
「それにしても不思議だね」
「不思議、とは?」
「いやいや。その服装と喋り方だよ。騎士っていうより侍なのにね」
「さむらい?」
騎士といえば騎士甲冑に洋装がスタンダードです。
しかしこの騎士団長は和装に時代劇喋りなのです。
腰に差している剣だけはごく普通のロングソードでしたが。
騎士団長という肩書きはちょっとミスマッチなように思えます。
「ああ、なるほど。これは拙者独自のこだわりでござるよ」
「そうなんだ。じゃあ他の人は普通に騎士甲冑とか洋装とかなの?」
「そうでござる」
「じゃあ騎士団長はなんでそんな格好を?」
「いやあ、改めて他人様に話すのもちょっと恥ずかしいのでござるが……」
「そう言われると聞きたくなるなぁ」
魔女はわくわくした目で騎士団長を見ます。
にゃんこもわくわくした目で騎士団長を見ています。
「ききたいききた~い」
「う……」
四つのつぶらな瞳を目の当たりにした騎士団長はちょっとだけ後ずさりました。
しかし助けて貰ったお礼もありますし、ここは素直に白状することにしました。
「実は……英雄の真似事をしているでござるよ」
騎士団長は昔話をしてくれました。
異世界の昔話。
二つの世界が繋がるお話です。




