表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
360/363

最終回っぽい流れ?

「うっそぉ……」

 それは、先代魔女の遺産と言えるものでした。

 暴走した魔力が空間をゆがませ、そして先代魔女が仕込んでいたとある魔方陣を起動させてしまったのです。

 それは、次元歪曲魔方陣でした。

「………………」

 歪んだ空間は円を描き、そして世界の向こう側を映し出しています。

「わたしの家だ……」

 それは、魔女の故郷でした。

 十階建てのマンションは、魔女がいなくなったときのままの姿でそこに建っています。

 下にはコンビニエンスストアがあり、今も誰かが出たり入ったりしているようです。

 つい今しがた出てきた学生は、魔女がかつて通っていた中学校の制服を着ていました。

 そこは、間違いなく地球なのです。

 この円を飛び越えれば、魔女は故郷に帰ることが出来ます。

「………………」

 暴走と同時にこんな魔法が発動したのは間違いなく偶然でしょうが、魔女にとっては運命でもあるのかもしれません。

 魔女自身、ずっと迷っていたからです。

 これ以上この世界で暮らしていけば、元の世界に帰りたいという気持ちは欠片ほどもなくなってしまうと。

 にゃんこがいて、黒鍵騎士がいて、魔王や勇者やスカルくんたちがいるこの世界が、とても居心地の良いものになっていたのです。

 しかし魔女にとっては故郷のことも同じぐらい大事で、家族に会いたいという気持ちも捨てきれるものではありませんでした。

「私は……」

 今なら、帰れる。

 それを確信した魔女は、自らが蹴散らしたクラール王国軍のこともきれいさっぱり忘れてしまい、本気で迷ってしまいました。

 帰りたいという気持ちはもちろんあります。

 ですが、同じぐらい帰りたくないという気持ちもあります。

「ますたぁっ! いっちゃやだっ!」

 そして一歩踏み出そうとした魔女の手をにゃんこが握りました。

「にゃんこ……」

「やだ……かえっちゃやだよますたぁ! ぼくをひとりにしないでっ!」

 にゃんこは泣きながら魔女にしがみつきます。

 これが魔女の故郷に通じるものだと分かっているのでしょう。

「私は……」

 魔女はにゃんこの頭を撫でながら、黒鍵騎士を振り返りました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ