魔女の本拠地が……
「う~みゃ~……」
「………………」
大陸統一トーナメントという名の下剋上イベントも終わり、魔王城にもようやく平穏が戻ってきました。
大陸各地から集まってきた魔族たちはそれぞれの住処へと戻り、魔王城には魔王と黒鍵騎士、そして勇者と魔女とにゃんこが常駐しているのでした。
……勇者が魔王城に常駐、というのも常識的にはおかしな話かもしれませんが、そこは気にしないことにしましょう。
今更ですしね。
魔女はごろごろと黒鍵騎士に甘えています。
膝枕でご満悦、といったところですね。
にゃんこは勇者と一緒に戦闘訓練中です。
トーナメントを経験したことでいろいろと思うところがあるようで、もっともっと強くなりたいという気持ちになったようです。
黒鍵騎士は魔女を膝枕しながら書類仕事を済ませています。
ボードを持ちながら器用にハンコを押したりサインをしたりと、最近はこの状況に慣れてきたようです。
慣れていいものかどうかは謎ですが。
「平和だね~」
そして魔女は調子に乗って尻尾をもふもふしています。
変な触り方はせず、普通になでなでもふもふしているだけなので、黒鍵騎士も好きにさせているようです。
「そうですねぇ」
ごろごろごろごろしている魔女は最近はだらけきっています。
何か面白いことないかな~と思いつつも、なぜか黒鍵騎士のそばにいたがります。
割と本気で恋しちゃってるかもしれません。
こうして膝枕をしているだけで幸せな気分になるようです。
このままずっと本拠地に戻らずに、こうしてごろごろしているのも悪くないかもしれないなぁ~などと本気で考えているようです。
しかしそういうときほど平和というのは長続きしません。
それを、魔女自身も身をもって思い知ることになります。
「っ!?」
何かを感じた魔女が黒鍵騎士の膝から跳ね起きます。
「ど、どうかしましたか? 魔女殿」
「………………」
魔女は厳しい視線を虚空に向けています。
「私の家が何者かに襲撃された……」
「え?」
それは、魔女の本拠地に何者かが攻め込んだということでした。




