逆ハーレムの野望
優勝者リヒテンダール、準優勝にゃんこ、最終勝者魔王という結末で、トーナメントは終了しました。
頬を腫らした魔王は貴賓席に戻り、魔女を恨めし気に睨みつけています。
「まったく。一対一の戦いに介入するなど卑怯者のすることだぞ……」
魔女の所為でリヒテンダールに殴られたことをしばらくは根に持ってしまいそうです。
まあ魔王がいくら根に持ったところで気にするような魔女ではないのですが。
「あいにくと『魔女』は卑怯な生き物だからね~」
「くっ……」
「それに一発ぐらいは殴らせてあげたいじゃん。それぐらいの恨みは引き受けるべきだと思うし」
「冗談ではないわっ! 結局余のロリハーレムが一人減ってしまうし……まったく踏んだり蹴ったりだぞ!」
「……一人ぐらいでいつまでも根に持たないでよ」
「じゃあ魔女が代わりに入ってくれ」
「お断りよ。私はにゃんこと黒鍵騎士のもふもふ逆ハーレムを作る予定なんだから」
「私を逆ハーレムのメンバーにしようとしないでくださいっ!」
魔女の野望に黒鍵騎士が突っ込みを入れます。
「じゃあ二股! ハーレムじゃなくてにゃんこと黒鍵騎士の二股で我慢するから~!」
「そういう問題じゃありません!」
「いいじゃんいいじゃん~!」
「離してくださいーっ!」
「よいではないかよいではないか~!」
「あっ! 尻尾は触らないでくださいーっ! っ!!」
いつの間にか黒鍵騎士へのアタック、そしてセクハラになってしまいました。
魔王のことはすっかり忘れています。
「……寂しい。余の扱いが酷過ぎる」
魔王が一人いじけています。
魔女の妨害で殴られるし、ハーレムからは一人引き抜かれてしまうし、更には将来的には側近まで引き抜かれてしまいそうな予感がして魔王はとても切ない気持ちになるのでした。
「黒鍵騎士もそろそろ観念して私に籠絡されればいいのにね~。そうしたら毎日毎日もふもふもふもふ可愛がってあげるのに~」
ごろごろ甘えながら魔女が勝手なことを言います。
「もふもふされたくないから拒否してるんじゃないですかっ!」
「え? じゃあセクハラしなかったら受け入れてくれるの?」
「………………」
「あ、いや、やっぱり今のナシ。もふもふは私の生き甲斐だから我慢するのは無理」
「………………」
もう何をどう返事していいのか分からなくて困り果てる黒鍵騎士なのでした。




