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おてやわらかに……

「では行くぞ!」

「にゃ!」

 リヒテンダールの事情が分かったところで改めてぶつかり合いが始まります。

 しかしここで予想外のことが起こりました。

「でやあっ!」

「にゃあーっ!」

 なんと、にゃんこが攻撃を避けなかったのです。

 リヒテンダールの魔力を乗せた風の攻撃を、正面から防御姿勢で受け止めました。

 そして、ばたりと倒れました。

 本当はもう少し余力がありますが、にゃんこに立ち上がるつもりはありません。

「……なぜ避けなかった?」

 リヒテンダールはにゃんこのそばに立って質問します。

「だって、あいするひとのためなんでしょ?」

 にゃんこが弱々しく言いました。

「……それで、勝ちを譲ってくれるって? 随分とバカにされたものだな」

 実力で勝たなければならない勝負なのに、とリヒテンダールは眉を顰めます。

 それでも愛する人を取り戻すことが出来る喜びはにじみ出ています。

 怒りと、そして感謝の気持ちが同じぐらいあるのでした。

「ぼくにはかつりゆうがなかったから」

「………………」

「かたなければならないりゆうがなかったから。だったら、りひてんだーるにあいするひとをとりもどしてほしいっておもったんだよ。だって、すきなひとといっしょにいられるほうがしあわせでしょ? ぼくもますたぁといっしょにいられるだけでしあわせだから。きっとおなじなのかなっておもって。ますたぁとはなれたらさみしくていきていけないもん。だから……」

「分かった。もういい」

 勝ちを譲ったというよりは、にゃんこがリヒテンダールに肩入れしすぎて攻撃できなくなってしまっただけのようです。

「……ありがとな」

 リヒテンダールはにゃんこを起こしてお礼を言いました。

「ううん。しあわせになってね」

「もちろんだ。ついでにあのロリコンもぶん殴る」

「……おてやわらかに」

 魔王の身を案じてにゃんこが言いました。

 そしてリヒテンダールは、

「断るっ!」

 と即答しました。

「………………」

 にゃんこはやれやれと思いながらも、どうせ魔王だからまあいっか、とさりげに薄情なことを思ってしまうのでした。


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