やりたいことをやろう。
「しりあいがおんなのひとにかんせつわざをきめられたらこうやってぬけだせっておしえてくれたから。おこらせるつもりはなかったんだよ」
しれっと言うにゃんこですが、これが本音であることに間違いはないようです。
だからこそ最悪なのですが。
「それはまた最低の教育をしてくれる奴がいたものね……」
最低の教育をしたのは魔王の天敵であるはずの勇者で、しかも現在はますたぁのお仕置きでお尻の●に●●●されてしまっているのですが、そんなことを知らないカグヤは忌々しげに吐き捨てます。
「それにしょーじきもむほどおおきくなかったし。あんまりおこらないでくれるとうれしいんだけど」
「………………」
ちょっぴり気が抜けたカグヤが再び怒りの炎をメラメラさせました。
怒りというよりは殺気の炎かもしれません。
「にゃ!?」
もちろんその変化に気づいたにゃんこは怯えてしまいます。
「うん。やっぱり殺そう」
「ひぅ!」
完全に殺すつもりのようです。
にゃんこは勝つこは難しいかもと諦めモードに入ってしまいました。
正直怖いのでこれ以上は戦いたくない、戦意を完全に萎ませてしまいました。
そうなると後はやり残したことだけをやるだけです。
「よし」
勝てないのなら角だけでも触っておこうと思いました。
かすらせるだけでもいいので角だけ触って、すぐにギブアップしようと考えました。
殺される前に降参すれば命は助かるはずです。
代わりに尻尾を触られてしまいますが、そこはもう妥協するしかありません。
「くらえーっ!」
カグヤが攻撃を仕掛けてきます。
にゃんこはそれを必死で避けます。
一撃でも食らえば勝敗は決してしまいます。
それどころか命がないかもしれません。
にゃんこはギリギリで避けながら、角に手を伸ばしました。
負けてでもやりたいことだけはやってしまおうという、まさに執念でした。
そして、角に手が触れます。




