男として殺す……
「まったく……」
ぷんぷんと怒りながら、魔女もようやく怒りを収めてくれました。
死亡フラグは立ったままですが、ジャイロも司会も今のところは無事です。
魔女をなだめる代わりに黒鍵騎士が魔女をだっこして、そして魔女がにゃんこをだっこするという、前後もふもふ天国を成立させる必要がありましたが。
魔女は黒鍵騎士にべったり甘え、そしてにゃんこをたっぷり甘やかしています。
あー、極楽極楽状態です。
「ますたぁ、おちついた?」
「ん~。おちついた~」
にゃんこの耳にすりすりする魔女はすっかりもふもふ萌えモードです。
白いお耳がもふふわで魔女はとってもご機嫌です。
「魔女殿は短気すぎます。もう少し理性的になってもらわないとこちらの身が保ちません」
黒鍵騎士は魔女を窘めています。
宥める方の身にもなってみろと言いたげです。
「だって仕方ないじゃん。あいつら私のにゃんこを勝手にご奉仕させようとしてるんだよ。ここはますたぁとして教育的指導を行うのは当然の義務なんだよ」
魔女も負けじと言い返します。
「だからと言って殺そうとするのはやりすぎでしょう」
やりすぎです。
せめて半殺しにしてください。
「いや、別に命を奪うつもりはなかったよ、ほんとに」
魔女はちょっぴり気まずくなったのか、やはり黒鍵騎士にはちょっぴり弱いようで、視線をそらしながら言い訳します。
「あれだけ『殺す』を連呼しておいてその言い訳はあまりにも説得力が欠けますね……」
「ぶー。殺すっていうのは命を奪うって意味じゃないもん」
魔女はふくれっ面で言い返します。
「ほほう。ではどういう意味で言ったのですか?」
「もちろん。『男として殺す』って意味に決まってるじゃん!」
「………………」
「………………」
「………………」
黒鍵騎士が沈黙、魔王と勇者が股間を押さえてぶるぶると震えていました。
「おとことしてころすってどーゆーいみなの?」
意味が分かっていないにゃんこだけが首をかしげています。
「ええとね、つまり切り落としちゃえばいいんだよ~」
「なにを?」
「それはもちろん、ち……もがもがっ!」
「はい、そこまでです」
「もがーっ!」
問題発言をやらかす寸前で黒鍵騎士の両手が魔女の口元を押さえました。
ギリギリセーフですね。




