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戻ってきたら……

「にゃーん……」

 にゃんこは背後に回り込んで指の形をかんちょーの形にします。

 もちろん直接かんちょーするわけではありません。

 そもそも届きません。

 なので指先から魔力刃を形成します。

 しゃきーんと伸びた魔力刃がターゲットロックオンしました。

 もちろんターゲットはジャイロの尻の○です。

「かんちょぉ……」

 必殺技ですがなんだか恥ずかしいので小声になりました。

 魔力刃をぶっすりとジャイロの○に刺します。

「ぎゃあああああああああああーーーーっ!!」

「みゃう!」

 効果は覿面で、耳をつんざくような声が会場内に響き渡りました。

 にゃんこは思わず耳をふさぎます。

 垂れてしまった耳をさらに両手で覆います。

 ばたーん、ずしーん、と倒れてしまったジャイロは、完全に白目をむいていました。

 ぴくりとも動きません。

「はっ!」

 司会はようやく状況を理解して、にゃんこに駆け寄りました。

「にゃんこ選手、まさかのかんちょー勝利! 一発かんちょー大逆転!」

「みゅ!」

 にゃんこの腕をとって高々と掲げます。

 会場がわーわー盛り上がります。

「これでにゃんこ選手の貞操は守られました~」

「みゅう……」

 そっちかよ……とにゃんこがジト目で司会を見つめます。

 気絶したジャイロを数人がかりで運びながら、大会運営は大忙しです。

「さてと。ますたぁのところにもどろうかにゃ」

 にゃんこは貴賓席の方へ向かいます。

 本当は正々堂々と勝ちたかったのですが、最後は弱点攻めでしか勝てなかったのがちょっぴり悔しいです。

 やっぱりもっと強くならなければと思うのでした。

「でもがんばったからますたぁにほめてもらえるよね」

 えへへ、と貴賓席の扉を開けると、

「みゅ?」

 そこにあったのは怒りで興奮気味の魔女を、黒鍵騎士と勇者と魔王と三人がかりで抑え込んでいるという悲惨な姿でした。

「どどどどどうしたのますたぁ?」

 にゃんこが試合をしている間にジャイロや司会への死亡フラグが立ってしまったことなどまったく知らないにゃんこは困惑しながらますたぁを止めに入るのでした。

 ご苦労様です。

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