猫耳美少女巫女?
「続いて~、青コーナー、パンチ一発で驚異的な威力を見せてくれたにゃんこ選手の登場です!」
「にゃ……」
にゃんこは恥ずかしそうに出てきました。
その瞬間、会場がざわめきます。
「なっ!?」
勇者も身を乗り出してにゃんこを観察していました。
「えへへ~。やっぱりにゃんこは似合うなあ~♪」
魔女もちょーご機嫌です。
「……似合ってしまうのがなんとも哀れだと思うのですが」
黒鍵騎士だけはまともなことを言ってくれています。
「ふん。いくら似合っても男ではないか」
魔王はロリコンなので妥当な発言です。
胸がぺったんこでも余計なものがついているだけで攻略対象外です。
にゃんこにとってはとても救われる話ですね。
「うおおおおおー! なんだあれ女の子だったのか!?」
「ちょー可愛い! あの白い尻尾を撫で回してえっ!」
「いや! 耳だよあの耳!」
「何でもいいから押し倒してえっ!」
会場内は危ない発言で満ち溢れています。
「なんとなんと、にゃんこ選手は女性だったのか!? いや、男だとしてもこの格好は似合いすぎます! 危ない! にゃんこ選手が優勝したらあの腐れロリコン魔王に食われちゃいますよ! みんな、にゃんこ選手の貞操を守るためにもミコト選手を応援しましょう!」
「うおおおおおおーー!」
「ミコト選手頑張れ!」
「にゃう~……」
にゃんこだけが居心地悪そうにもぞもぞしています。
にゃんこの恰好は巫女さんです。
白い着物に緋袴という巫女さんの恰好なのです。
しかも緋袴はミニスカ仕様で、尻尾がくるりと出ています。
お尻もちょっぴり見えていて、耳も立っていて、どこからどう見ても猫耳ロリ美少女巫女なのです。
そりゃあみんな盛り上がります。
盛り上がらずにはいられませんとも。
たとえ中身が男だとしても……
「むぅ。にゃんこの初めては私がもらうんだからね。魔王なんかにあげてたまるもんですか」
魔女が一人つぶやきます。
「余だって男の貞操はお断りだ」
魔王が忌々しげに言い返します。
しかし見下ろすにゃんこの見た目だけは文句なしに可愛いと、あれで男というのはもったいないにもほどがあると本気で悔しがるのでした。




