本物の戦士とは
「そうね。女装はオッケーなんだよ。だってにゃんこが女装したところで、相手が女の人だったら何の効果もないわけじゃない?」
「うみゅ……」
「でも相手がロリコンだったら効果抜群なわけよ。どこからどう見てもロリ美少女にしか見えないにゃんこが可愛らしく突撃していったら、きっとやりづらいと思うんだよね」
「でも……」
「でもそれは意志力でどうにでもなる問題なんだよ」
「………………」
「本物の戦士なら女装程度でびくついたりしないし、相手がどんなに可愛くても容赦なんてしない。違う?」
「それはそうかもしれないけど……」
いまだに迷うにゃんこです。
「……俺なら巨乳美女が突撃してきたら戦うよりもまずは揉むかな」
勇者がぼそりと言います。
勇者のくせに本物の戦士とは程遠い精神の持ち主のようです。
「余はロリ美少女が突撃してきたらまずお注射だな」
魔王は……もう手遅れということで。
「………………」
黙り込んでいる黒鍵騎士だけはきっと『本物の戦士』なのでしょう。
ロリ美少女がでも巨乳美女でもきっと動揺はしません。
……魔女が相手のときだけはちょっぴり動揺するでしょうけど。
主にセクハラの恐怖で。
「ええと、つまりさくせんなんだね?」
「そう。作戦! にゃんこは相手の動揺を誘うことができるし、私はにゃんこの可愛い女装姿で悶えることができるし、一石二鳥じゃない?」
「……にちょうめはいらないとおもう」
呆れるにゃんこでした。
「そんなわけないでしょ!」
「にゃう!」
叱る魔女、びくつくにゃんこという構図がそこにありました。
にゃんこの魔女への忠誠心があと少しでも弱かったらきっと『りふじんだよ!』と叫んでいたことでしょう。
こうしてにゃんこの二回戦は女装姿でいくことになりました。
いったいどんな女装をしてくれるのか、魔女だけではなく勇者も楽しみなのでした。




