おめかししてみない?
「ねえにゃんこ」
魔王と参加者の面白事情を聞いた魔女は、新しい悪だくみを思いつきました。
「なに?」
「次の試合なんだけど、ちょっとおめかししてみない?」
「おめかし?」
「うん。一見ロリ美少女に見えるようにしてみるの」
「じょそーするってこと?」
「うん。いや?」
「ぼくおとこのこだもん。いやにきまってるよぅ」
さすがのにゃんこも頬を膨らませて抗議します。
いくら魔女の言葉とはいえ、従えることと従えないことがあるようです。
「でも私は可愛くなったにゃんこを見てみたいな~」
上目遣いでにゃんこに迫る魔女もとても可愛らしい状態になっていました。
「……一度でいいからそういう表情で余に迫ってほしいものだ」
それを眺めていた魔王が悔しそうに唸ります。
「………………」
そういう表情で迫られたことの少なくない黒鍵騎士は何とも言えない表情になっていました。
「それに、にゃんこがロリ美少女の女装で試合に出れば勝率は跳ね上がるよ? なんせ向こうはほとんどがロリコンだからね。男の子だと分かっていても、いや、男の娘だからこそ攻撃を躊躇うんじゃないかなぁ?」
魔女が悪知恵を仕込んでいます。
にゃんこがどんどん穢されていきます。
「そういうひきょうなまねはよくないとおもう」
しかしにゃんこは毅然と立ち向かいました。
ますたぁに向かって卑怯なことはしたくないと言います。
しかし魔女はめげません。
「甘い」
魔女は毅然として言い放ちました。
自分が正しいことをまったく疑っていない態度です。
「にゃ?」
そんな堂々としたますたぁににゃんこが戸惑ってしまいます。
「甘いよ、にゃんこ。卑怯な手段を使いたくない? 人生においてそんな綺麗言は通じないんだよ? いつ、誰が、どんな手段で卑怯なことをしてもおかしくないんだから。だから自分だけ綺麗でいてたとしてもいつか誰かに騙されるよ?」
「うみゅぅ……」
子供に対してなんてことを言うのでしょう、この魔女は。




