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エロ魔神に改名しましょう

「よく来たな、異世界の魔女よ。ついでに白銀龍も」

「……別に異世界で魔女だったわけじゃないんだけどなぁ」

「というか、我はついでなのか」

 海神は青い肌に銀髪の超絶美形でした。

 引きこもりのくせに健康そうです。

 そして歯に衣着せぬ物言い、つまりは結構無礼者だったりします。

 神様ですから少々無礼なくらいがちょうどいいのかもしれませんが、ついで扱いされた白銀龍の血管はライブで三本くらい切断されています。

 早い話がブチ切れ寸前、みたいな?


「俺が海神ヴェルスである。敬っていいぞ」

「ニート」

「っ!?」

 神様に謁見の栄誉を頂いたのですから自分は敬われて当然、だと思っていたヴェルスの思惑は魔女の無慈悲な一言で完膚なきまでに破壊されました。

「人間が近づけないように大層な防壁構えちゃって、完全引きこもり生活のニートゴッドのくせに何調子に乗っちゃってんの?」

「に、にーとごっど……?」

 魔女は容赦なく攻め立てます。

 実際はそこまで酷いことを考えている訳ではないのですが、偉そうな相手を見るとどうしても腹が立ってしまうので仕方がありません。

 心が狭いのです。

 重要なことなのでもう一度言いますが、心が狭いのです!

「しかも女の子と一児の母を触手攻めで誘拐なんてエロ暴挙に及んだ癖に」

「え、エロ暴挙!? 待て、俺は触手でいかがわしい事をした覚えはないぞ! 痛くないように加減して巻き付けて引きずり込んだはずだ!」

 エロ呼ばわりされたヴェルスはおろおろしながら言い訳します。

 エロは駄目なようです。

「女性を触手攻めするだけで十分にエロいわよ」

「なんとっ! では抱えやすいように手のひらの形にすればよいのか!?」

「……いや、それ余計にエロい気がするわ」

「えーっ!?」

 触手の代わりにウォーターハンド。もみもみハンドでより一層エロい気がします。

「代案でより上位のエロ提案するなんて、あなた真性のエロ魔人ね。いっそ海神なんてやめてエロ魔神とかになっちゃったら?」

「なんで触手一つでそこまで言われなければならぬのだーっ!」

「……魔女殿は怒らせないようにしよう。どんな冤罪を押し付けられるか分かったものではないからな」

 悔し涙で悶絶するヴェルスを前にして、白銀龍はひっそりと心に決めました。

 一児の母としては、たとえ冤罪であっても不名誉を被るわけにはいかないのです。

 主に子供の精神衛生上の為に。

 エロ方面の不名誉を被ろうものなら、チビ龍に軽蔑されかねません。

『ママってばへんたいさんなの!? えろいの? てゆーかちじょ?』

 とか言われてしまった日には鱗が残らず禿げてしまいそうです。

 想像しただけでおっぱい抉れそうなくらい凹んでしまいました。


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