参加登録するね~
大陸統一トーナメントの参加者が続々と登録を済ませています。
魔王城に勤める魔族たちはその手続きに追われて大忙しです。
唯一魔王と黒鍵騎士だけがのんびりとしていられます。
忙しく働き回っている下っ端からみれば羨ましい限りですが、もちろん上司であり主君である彼らにそんな文句を言える度胸はありません。
「ぼくもさんかとうろくするね~」
「君が?」
唐突に表れたにゃんこに係員の魔族が驚いています。
にゃんこが魔王城の客人であることは周知の事実ですが、まさかトーナメントに参加してくるとは思わなかったようです。
「あの、こんなことは言いたくないんだけど、まだちょっと早いんじゃないかな?」
心配した係員がそんなことを言います。
知らないっていうのは実に恐ろしいですね。
この可愛らしい使い魔は本気になれば魔王すら圧倒する凶悪魔女に仕込まれたたった一人(匹?)の弟子であり、実力だけならそんじょそこらの魔族よりも上だということに、まったく気づいていません。
剣技においても十分程度なら勇者と互角に張り合える程度には成長しています。
しかし見た目からはとても分かりません。
「その子なら大丈夫。実力は私が保証しよう」
係員が困っていると、黒鍵騎士が現れました。
「こ、黒鍵騎士様!? このようなところにおいでになるとは……」
普段は顔を合わせることすら珍しい魔王陛下の側近に、下っ端魔族でしかない係員は緊張しているようです。
黒鍵騎士=魔王陛下の側近でとっても偉い人、という図式が出来上がっているようです。
魔女にもふもふセクハラされているところを一度見せてみたいですね。
「にゃんこの実力は陛下と私のお墨付きだ。見た目に惑わされない方がいい」
「そ、そうですか」
「じゃあさんかようしかくね~」
にゃんこはそんなやり取りをしている中でもマイペースで参加申込書を記入していきます。
「にゃんこ、もしも希望するならシード枠で参加できるけど、どうする?」
戦闘回数を減らすことでなるべく怪我をする確率を減らせるようにという黒鍵騎士の気遣いでしたが、
「ん~。いらない。いちからがんばる~」
と、健気に拒否するにゃんこでした。
さてさて、どうなることやら。




