にゃんこの挑戦
大陸統一トーナメントについては、魔女と勇者は特等席で見物、という結論に落ち着きました。
魔王も今の立場から引きずりおろされる心配がなくなりホッとしています。
「やれやれ。冷や汗ものだったぞ」
本気で焦っていたようです。
「まあ私たちが参加したら確かに盛り上がらないよね~」
「特別枠というか、見せるためのバトルなら盛り上がるだろうけどな」
「勇者VS私とか?」
「いや、それはぜひとも遠慮したい」
バーサク状態で勇者と魔王を相手取れる魔女に単体で挑む勇気はありません。
勇者ですけどそんな勇気は持ち合わせていません。
「んー。じゃあにゃんこでも参加させてみる? いい修行になりそうだし」
「ぼく?」
「そう。にゃんこは強くなりたいんでしょ?」
「うん」
「このトーナメントで優勝すれば、とりあえずハルマ大陸ナンバーツーの地位はゲットできそうだよ」
「んー。なんばぁつぅにはきょうみないけど、つよくなれるならがんばってみたいな」
「ということだけど、どう?」
魔女は魔王に視線を向けます。
「まあ、にゃんこならいい勝負になるかもしれないな」
魔女自身ではなくにゃんこならばそこそこ強い相手と戦っても十分にイベントを盛り上げてくれそうです。
魔王としても断る理由はありません。
「よし、じゃあにゃんこが参加するか」
「さんかする~」
こうしてにゃんこの大陸統一トーナメント参加が決定したのです。
「ちなみににゃんこが優勝したらどうなるんだろ?」
「もちろんさんかするからにはゆーしょーめざすよ」
「優勝したらにゃんこが魔王に挑戦するってことだよね」
「あ、そういえば~。が、がんばる」
「よし、頑張れ。もしも酷い目に遭わされたら私がきっちり復讐してあげるからね」
「ありがと~、ますたぁ」
「………………」
魔王として挑戦者に負けるわけにはいかないのですが、もしもにゃんこが勝ち上がってきた場合は下手に傷つけるわけにもいかないという、とんでもなく厄介なペナルティを背負わされてしまう魔王なのでした。




