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脅迫? 駆け引き?

 黒鍵騎士は寂しがりの子供をなだめるように抱き寄せてから、魔女の背中を撫でました。

 ここにいるよ、そばにいるよというように。

「魔女殿はまだ迷っているんですか?」

「ん、まあね」

 ここに残るか。

 それともいつか元の世界に還るのか。

 魔女はいつでも迷っています。

 だからこそ決め手になるものが欲しかったのかもしれません。

 にゃんこも黒鍵騎士も、魔女にとっては特別な相手です。

 一歩踏み込んだ関係になる事で、元の世界に対するふんぎりをつけたいと考えているのかもしれません。

 迷いを振り払おうとしているのかもしれません。

「勇者殿は魔女殿にここにいてほしいと願っています。たった一人の同胞として」

「ん。知ってる」

「陛下はまあ、言うまでもありませんね」

「だねぇ」

「にゃんこは魔女殿と離れ離れになることは耐えられないと思います」

「ん。それはよく分かってる」

「………………」

「………………」

 魔女はじいっと黒鍵騎士を見ています。

 黒鍵騎士は居心地悪そうに視線を逸らしました。

「こういう時はさあ、最後に自分がどう思っているかを暴露してくれるのが王道的流れだと思うんだけど?」

「……ここは敢えて王道を外れてみるのはいかがですか?」

「襲っていい?」

「駄目です」

「むー」

 魔女がむくれてしまいました。

「よし、じゃあこうしよう」

「え?」

「黒鍵騎士が私と結婚してくれたら元の世界はきっぱり忘れる!」

「は!?」

「決定権を黒鍵騎士に委ねよう。そうしたらこれ以上うだうだ考えないで済むし」

「私に押し付けないで下さいよ!」

「押し付けてないよ~。黒鍵騎士は黒鍵騎士の思う通りにすればいいんだよ~」

「脅迫ですかっ!」

「失礼な。れっきとした駆け引きじゃん♪」

「脅迫レベルの駆け引きです!」

「んー、じゃあ黒鍵騎士を襲わせてくれたらって条件に変えようか?」

「やめてくださいっ!」

 襲うならまだしも襲われる側には間違ってもなりたくありません。

「じゃあ結婚ね~」

「うぅ……」

 魔女のホームシックは黒鍵騎士の結婚にかかっているのでした。

 責任重大なような、嫌な決定権を押し付けられたような、そんな複雑な気分になる黒鍵騎士でした。



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